気温差300度でも「生きて帰ってこられるクルマ」 トヨタの“月面ランクル”先行き不透明 それでも開発を続けるワケ

2025年の7月~8月にかけて、宇宙ビジネスの祭典である「SPEXA」が開催されました。参加したさまざまな企業のなかには、意外なことに「トヨタ自動車」の名前も。どのようなものを展示したのでしょうか。

JAXAとトヨタが共同開発する「月面の“ランクル”」

 2025年7月30日から8月1日までの3日間、東京ビッグサイトで宇宙ビジネスに関する総合展示会「SPEXA」(【国際】宇宙ビジネス展)が開催されました。ロケット打ち上げや人工衛星の運用、宇宙空間の利用などの事業を手がける企業・団体が出展しました。

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2025年3月末に公開された「ルナクルーザー」の外観イメージ(画像:JAXA/トヨタ)

 ロケットの動力などを手がける「IHIエアロスペース」や、人工衛星を手がける「三菱電機」に「エアバス・ディフェンス・アンド・スペース」など、出展して当然と思える会社がほとんどだったのですが、そのなかでも特に筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)の目に留まったのが「トヨタ自動車」のブースです。正直な話、「なぜトヨタが?」と意外に思ってしまいました。

 そんなトヨタ自動車のブースに展示されていたのが、開発中の「有人与圧ローバー」というタイプの月面探査車の大型模型。この車両は「ルナクルーザー」の愛称で呼ばれています。

「ローバー」とは、月面を動き回るための車両のこと。ルナクルーザーは実際に宇宙飛行士が乗り込み、月面で操縦・生活するタイプのローバーです。アメリカ政府が出資する有人宇宙飛行計画の「アルテミス計画」での使用を想定し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とトヨタが共同で研究・開発を進めています。

 ルナクルーザーはもともと、2015年ごろからJAXAが単独で研究を進めていましたが、2018年ごろからトヨタとの共同研究開発を検討し、2018年6月13日に共同研究協定を締結。トヨタはこれを受け、ルナクルーザー開発の専門組織となる「月面探査車開発」を設立しています。

 ちなみにルナクルーザーという愛称は、“ランクル”の略称でも知られるトヨタの本格SUV「ランドクルーザー」から取られています。ランドクルーザーのコンセプトである「どこへでも行き、かならず生きて帰ってくる」を引き継いでいきたい、という意気込みを込め、「ルナ(=月)クルーザー」と名付けられたそうです。

 SPEXAのブースに展示されていた説明パネルには、ルナクルーザーは「月面を走るキャンピングカーのようなクルマ」と紹介されており、2名の宇宙飛行士が約1か月車両内で生活しながら、月面を探査することを目標にしています。

【かなり「ランクル」っぽいぞ!】これが2025年最新版の「ルナクルーザー」です(写真で見る)

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