JR東日本初の「電気式気動車」GV-E400系登場! JR東にとって大きい電気式の利点とは?(写真40枚)

実は昭和初期からあった「電気式気動車」 21世紀に花開く?

 このたび姿をあらわしたJR東日本初の電気式気動車GV-E400系は、量産先行車の3両(2両編成1本、1両編成1本)です。今後、試験や検証が行われたのち、2019年度までに新潟地区、2020年度に秋田地区を走り始める予定です。またJR北海道でも、GV-E400系を基本とした電気式気動車の導入が進められています。

 実は日本では、昭和初期には電気式気動車が登場していますが、性能や重量などに難があり、その後は液体式が主流に。技術の発展でそうした課題が解決された21世紀、ふたたび電気式が日の目を見ることになりそうです。

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ロングシートとクロスシートが組み合わされたGV-E400系車内(2018年1月30日、恵 知仁撮影)。

 なおJR東日本ではすでに、電気式気動車のシステムにバッテリーをくわえた形の「ハイブリッド式気動車」も運用していますが、バッテリー交換などのメンテナンスを含むコストを考慮した結果、このたびは電気式の気動車にしたとのこと。ハイブリッド式はブレーキ時に発生する電力を充電し(回生ブレーキ)、その電力も使ってモーターを駆動させます。

 ちなみに、JR東日本の豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」は、「パンタグラフ付き電気式気動車」ともいえるシステム。非電化区間では電気式気動車と同様に、そして架線がある区間ではパンタグラフで電気を取り入れ、電車と同様に走ります(EDC方式)。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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14件のコメント

  1. バッテリー交換の必要がないから有利、か。どちらかといえばその点はJR北海道にとって有利なような。しかしアイドリングストップや回生電流の使用不可か。どれだけ環境に優しいのかわからない。まあ低温過ぎるとバッテリーやエンジンの保温が必要だから、そういう選択なんだろうけれど。JR九州のYC1系よりも余程ディーゼル・エレクテリックを名乗るにふさわしい(誉めてはいない)。

    • そういえば、形式名のGVってジェネレーター(発電機)・ヴィークルの略ですかね。ちなみに先ほど誤字あり。ディーゼル・エレクトリックでしたね。

  2. 動力回生はやってほしいですね。勾配区間の多い我が国では特に。

    • ハイブリッドの大容量バッテリーは質量も大きいから、必ずしも小海線や大糸線の様な片勾配の長い線区に向くとは言えない。むしろそこそこ平坦な線区用の本車に欲しかったかも。

  3. バッテリー搭載型(シリーズハイブリッド式鉄道車両)が大量普及する訳ではなさそうなのは少々残念だったが、動力方式は「最適」なものであればよいと思う。 

    動力方式に関係なく、近年バスや鉄道で「貨客混載」の動きが進みつつあるので、将来的には扉の幅などを貨客混載に対応できるような設計で製造されてほしい。特にJR北海道でも使う車両ならば尚更そう思えてきます。

    • これに関連して、例えば日本郵政や宅配事業者に駅運営を依頼しちゃうとかね。
      事実上、国鉄時代のスタイルが復活することに。

    • 最近、貴志川電鐵で電車の客貨混載始めた。行く行くは昔に戻ってキハニとかクモハニとか出てくるかもしれない。

  4. JR東は転クロなしをいつまでやるの?
    電気式はVVVFでやりやすくなったとは言え、回生ブレーキは必要だと思います。
    車内がキハ127なら良かったが。

    • ラッシュ時対策で転クロの入り込む余地のない首都圏や各都市圏はともかく、
      213系や初期0系など国鉄時代から転クロ車があった東海や西日本に比べて
      転クロ導入事例が極めて少数だったJR東にとって転クロはむしろ異端で扱いにくいのかもしれない

  5. 車で言えば、日産ノートeパワーが該当するような方式。総合的なコスト削減策でしょうか。エンジンは致し方ないにせよ、液体変速機などの保守要員の確保、育成など電気屋さんではない部門の維持は、大変です。
    また、回生ブレーキだと高価で重い電池が問題なのでしょう。アキュムは、地上設備が高くつくそうです。

  6. なんか画像一覧が水墨画っぽいというか、モノクロ的なのが気になった。

    風景が水墨画になる新潟の様な積雪地で使う車両なら、踏切などの安全の為に前面に色を入れるべき。モノクロ前面ではモノクロ景色に埋没する。
    新潟用のE129はオレンジと黄色が、E127も濃淡緑色が、側面から前面に回り込んで来てる。JR西の山陰用キハ187は前全面黄色。本車も量産時にはカラーリング変えるのかも知れないが。

    工業デザイナーと呼ばれる人は、使用目的
    に応じた設計をやれる人。色彩面でも。例えば車体側面の高い位置にラインカラーを入れるのは、窓の下の様にホームドアに隠されず、誤乗予防の為の良い色彩デザイン( = design = 設計)だと思う。
    単に見た目を心地よくする為に形状や色を設定する人は、スタイリストと呼びたい。

    けど鉄道記事でも外装の塗り分け変えただけで「デザイン変更」とか書かれちゃうのだよねぇ。クルマや航空機でもありがちだけど。乗りものニュースさんも気をつけてくれるといいなぁ。

  7. ちなみにアメリカの鉄道で走っているディーゼル機関車は、電気式ばかりですね。携帯などと一緒で、液体式は、ガラパゴスではないでしょうかね!

    • 機関車はね。
      欧州やロシアなどは幹線路線程度しかない上に幹線路線の殆どが電化されているから、気動車だと液体式が主流になるが。
      地震が多いところは抵抗制御やチョッパ制御の電気式は重くなって路盤が崩壊するから入れにくい事情はあるがな。
      アメリカや豪州は非電化路線が主流だし、ユーラシア大陸より路盤が頑丈だからな。
      アメリカや豪州、カナダは電化率が低いし、欧州は電気式ディーゼル機関車を入れる幹線は電化されているから意外と電気式は少ないかもしれない。

    • かつて日本は世界一の気動車大国という時代があったんですけどね。その事実を無視してガラパゴスというのは少し違うし。