「パナマ船籍」なぜ多い 船籍をあえて外国へ 世界をまたにかける外航海運業の戦略とは
日本の会社が運航する船にもかかわらず、船体に「PANAMA」と書かれているケースがあります。じつは、日本の外航海運会社が運行する船の約6割がパナマ籍。あえて外国に籍を置いています。
パナマ・リベリア・マーシャル諸島船籍が世界の約4割
船舶に関する報道で、中米の「パナマ船籍」と聞くことが多い気がします。ただ、乗組員は他国人であっても、船籍はなぜか「パナマ」というケースも。どういうことなのでしょうか。
「当社の船もパナマ籍が多いですね」と話すのは、日本最大手の海運会社である日本郵船の担当者です。日本、そして世界の海運会社が、船籍を自国ではなく、あえてパナマなどに置いているケースがあるといいます。世界的な海運の動きをまとめた日本海事広報協会(東京都千代田区)の年報「SHIPPING NOW 2017-2018」によると、世界の船舶はパナマ籍が最も多く17.7%、日本の外航海運会社が運行する船では、パナマ籍がじつに61.3%を占めます。なぜ、わざわざ他国に船籍を置くのでしょうか。
このように、ある国の会社が船籍を他国に置くことを「便宜置籍」といいます。海運の業界団体である日本船主協会のウェブサイトではその理由について、「船にも人間と同じように国籍があり、登録した国の法律によって制約と保護を受ける。しかし、その内容は国によってまちまち。そこで、より有利な条件を持つ国に便宜的に船籍を移す動きが、戦後、世界の海運国で活発になった」とし、このような登録ができる「便宜置籍国」のひとつにパナマを挙げます。
ちなみに、前出の海事広報協会「SHIPPING NOW 2017-2018」によると、世界の船舶はパナマ(17.7%)に次いで西アフリカのリベリア籍が11.1%、3位がオセアニアのマーシャル諸島共和国籍で10.6%となっています。日本の外航海運会社が運行する船では、パナマ籍(61.3%)に次いで日本籍が9.1%、リベリア籍が5.7%だそうです。
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