全線再開・久大本線の「次」は日田彦山線? 同じ災害でも復旧のめどが立たない事情

復旧後の運営方式で沿線自治体が難色

 ちなみに、経営の悪化を受けてローカル線の整理を進めているJR北海道の場合、輸送密度が2000人未満の路線を単独維持が困難な路線としており、このうち200~2000人の路線は「上下分離方式」の導入を軸に沿線自治体と協議する方針を示しています。

 この場合の上下分離方式は、沿線の自治体が線路を保有し、鉄道会社は自治体から線路を借りて列車を運転する運営方法のこと。自治体が線路を保有することで鉄道会社の負担が少なくなり、利用者の少ない鉄道路線でも維持しやすくなるというメリットがあります。

 JR九州と沿線自治体は、2018年4月から復旧の方法などに関する協議を開始。JR九州は上下分離方式の導入も視野に入れて沿線自治体と議論したい考えのようです。その一方、日田市など沿線自治体は上下分離方式の導入には難色を示しています。線路を保有することで財政負担が大きくなるためです。

 もし沿線自治体が上下分離方式の導入を最終的に受け入れなかった場合、添田~夜明間は鉄道を廃止してバスに転換される可能性が高くなります。今後のJR九州と沿線自治体の協議が注目されます。

 ちなみに、2018年6月28日以降の台風7号や梅雨前線による「平成30年7月豪雨」でも、西日本を中心に北海道や東海地方でも一部の鉄道路線が被災。そのなかには利用者が少なく厳しい経営を強いられているローカル線もあります。災害による不通を機に上下分離方式を導入したり、あるいは鉄道を復旧せず廃止してバスに転換するケースは、今後さらに増えていくとみられます。

【了】

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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

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3件のコメント

  1. 日田彦山線よりも豊肥本線の全線復旧が先だと思うが。

  2. 四国はどんな大災害が起きても復旧する線路が無さそうで安心だな

  3. 都市圏、都市間、観光地の路線は需要が多いので鉄道会社も行政も成るべく早く復旧させます。
    しかし、地方路線は復旧しても乗る人が殆ど居ませんから、そのまま廃止になっても文句は言えません。