ローカル線から都市鉄道まで「第三セクター鉄道」そのメリットと課題は

ローカル線の運営会社というイメージがある「第三セクター鉄道」ですが、実際は比較的新しい都市部の通勤鉄道なども第三セクターが運営しています。この経営方式が地方から都市まで普及したのはなぜなのでしょうか。

国鉄ローカル線「引き継ぎ」で多数出現

 鉄道関係のニュースを見ていると、ときどき「第三セクター鉄道」という言葉が登場します。この字面だけではどのような鉄道なのか分かりませんが、多くの人は「ローカル線の運営会社」というイメージを持っているのではないでしょうか。

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第三セクターが運営する鉄道路線はローカル線が多い。写真は国鉄ローカル線を引き継いだ岩手県の第三セクター・三陸鉄道(2016年10月、恵 知仁撮影)。

 実際、第三セクター鉄道とされる鉄道会社は約80社ありますが、このうちローカル線の運営会社が半数程度を占めています。NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台のひとつとして有名になった三陸鉄道(岩手県)も、三陸海岸沿いのローカル線を運営している第三セクター鉄道です。

『大辞泉』(小学館)によると、第三セクターは「国や地方公共団体(第一セクター)と民間企業(第二セクター)の共同出資によって設立される事業体」。「公営」「民営」のどちらでもない「第三の経営方式」を採用した半官半民会社で、その会社が運営する鉄道のことを「第三セクター鉄道」と呼びます。

 ローカル線の運営会社に第三セクターが多いのは、国鉄の経営悪化を受けて1980(昭和55)年に公布された、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)が引き金になったといえます。この法律では利用者の少ない国鉄ローカル線を対象に、鉄道の代わりにバスに転換するか、あるいは鉄道は維持するものの国鉄以外の事業者に引き継がせるものとしました。

 これにより国鉄ローカル線の83線が転換対象となり、このうち38線は鉄道存続の道を選択。青森県内の2線を除く36線は、沿線自治体と民間企業などが出資する第三セクターが新たに設立され、1984(昭和59)年から1990(平成2)年にかけて国鉄(1987年4月以降はJR)から経営を引き継ぎました。この時期に第三セクターの鉄道会社が多数設立されたため、第三セクター鉄道=ローカル線というイメージがついたといえるでしょう。

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コメント

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4件のコメント

  1. trafficnews.jp様
    配信を停止願います。よろしくお願いいたします。

    • あなた、あちこちの記事に同様のコメントをしてるけど、ユーザ登録情報のページから配信のチェック外すなり、ユーザ登録を削除しなさいな
      こんなところにコメントしても、運営側はあなたがどのユーザIDか分からないでしょうに

  2. 鉄道の時代は既に去ったか・・・

  3. そして10周年なのに何故か載らない中之島高速鉄道(京阪中之島線)……。「大阪市営地下鉄中之島線」並のスキームを使われた最初の都市型三セクという名の私鉄路線……。あ、この方式は西大阪高速鉄道(阪神なんば線)でも使われてます。こっちはなんば線好況もあって「じゃあなんで(過去に無理して)千日前線作ったんだ!」状態ですが……。