渋滞解消につながる鉄道の高架化、なぜ長い時間を要するのか? 相鉄の「星天」は30年(写真57枚)

横浜市内を通る相鉄本線の線路の一部が全面的に高架化されます。渋滞や踏切事故の解消などさまざまなメリットがある高架化ですが、その一方で実現までに長い時間がかかるという課題を抱えています。

長期化のさまざまな理由

 しかし、連立事業は計画の着手から完成まで、非常に長い時間がかかります。

Large 20181118 01
全面高架化に先立ち行われた式典の様子(2018年11月17日、草町義和撮影)。

 かつて横浜市会議員だった菅義偉内閣官房長官は、式典で「いまからちょうど30年前(1988年)、私のところに高架化の陳情が来ました」と話していました。要望が実現するまでに30年の歳月がかかったわけです。これは「星天」だけではありません。全国各地の連立事業でも長い時間がかかっています。地質が悪くて工事が難航することもありますが、長期化の理由はそれだけではありません。

 線路を高架化する場合、通常は地上に設置された既設の線路の脇に建設用地を確保する必要があります。しかし、渋滞が発生する踏切は多くの場合、人口が集中していて地価が高い都市にあります。用地の買収に相当な費用がかかるだけでなく、大勢の人と交渉しなければなりません。そのため時間がかかるのです。

 騒音や振動を懸念した反対運動が起きることもあります。小田急小田原線・梅ヶ丘~喜多見間の高架化では連立事業の認可取り消しを求める訴訟が提起され、最高裁が「近隣の住民も原告適格を有する」などとした判断を示しています。地権者だけでなく周辺住民にも配慮しながら進める必要があることも、時間がかかる理由のひとつになりました。

 ちなみに、地上にある既設の線路の上に高架橋を建設する手もあります。これなら新たに土地を確保する必要がほとんどありません。ただ、地上の線路を走る列車の安全を確保するのが難しく、実際は列車が運行していない深夜の短い時間にしか工事を行うことができません。昼間よりも騒音や振動に気を遣う必要もあり、結局は時間がかかってしまうのです。

 相鉄本線ではこれ以外にも、西谷~二俣川間で連立事業を行うことが考えられています。横浜市は地下化で踏切を解消したい考え。さまざまな課題を克服して早期に実現できるかどうか、注目されます。

【了】

この記事の画像をもっと見る(57枚)

Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. せっかく高架になっても、乗用車が橋脚にぶつかった程度で列車を止めるのやめてくれないかな?

    ダンプとかならわからんでもないが、その程度で壊れる高架なんてありえない。

    そもそも、なんの為に高架にしたのか?

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス