東京テレポート駅の「テレポート」って何? 駅名に刻まれた臨海副都心の「先進」構想

開業が遅れていたら別の名前に?

 東京湾の埋め立て地に副都心を建設しようという構想は、1970年代末期に浮上。東京都は1982(昭和57)年に長期計画を取りまとめ、臨海部の埋め立て地に副都心を整備する方針を定めました。

 その後、通信衛星を使った情報拠点を設け、テレビ会議やケーブルテレビなど、当時最新の情報通信システムを備えたオフィス都市を整備することが決定。1985(昭和60)年に「東京テレポート構想」がまとめられました。1988(昭和63)年には副都心の名称も「東京テレポートタウン」とすることが決まっています。

 つまり、「東京テレポート」とは臨海副都心のこと。小学館『精選版 日本国語大辞典』も、「テレポート」を「情報通信基地の機能を備えた都市」と説明しています。その都市の中心駅ということで、東京テレポート駅と名付けられたわけです。

 しかし、臨海副都心はバブル経済の崩壊でオフィス街の整備が進まず、その代わりにアミューズメント施設などが誘致されました。「東京テレポートタウン」という名前も「事業の行き詰まりとともに死語化した」(1996年10月30日付け毎日新聞東京版)といいます。

 そこで東京都は、臨海副都心の新しい愛称を一般から募集しました。

 こうして東京テレポート駅の開業から10か月後の1997(平成9)年1月、約1万2700件の応募から選ばれた新愛称が「レインボータウン」です。これに先立つ1993(平成5)年には「レインボーブリッジ(東京港連絡橋)」が開通しており、これにちなんだ名前といえます。応募作品のなかで最も多かったのも「レインボータウン」でした。

 もし東京テレポート駅が「レインボータウン」の選定以降に開業していたら、駅名も「東京レインボータウン」だったかもしれません。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 1990年頃のアニメ”パトレイバー”で東京テレポートシティとかなかったけ?