香港都市鉄道のいま 日本と似ている設備やサービス、新線建設も進む(写真28枚)
さまざまな種類の交通機関がある香港。そのなかでも「MTR」と呼ばれる都市鉄道は日本とよく似ていますが、ユニークな運賃制度を採用するなど異なる部分もあります。大きく変わろうとしている香港の鉄道の「いま」を紹介します。
3エリアを縦横無尽に結ぶネットワーク
日本から約2800km離れた香港。かつてイギリスの植民地だった中国特別行政区で、東京都の半分に相当する約1100平方kmに約750万人が生活しています。また、陸地の40%は国立公園となっており、開発が制限されています。そのため、人口密度が高く、鉄道網も発達しています。
香港は大きく3つの場所に分かれます。ひとつは中国本土とつながっている九龍半島、ひとつは空港のあるランタオ島、そしてもうひとつは国際金融センターや繁華街の銅羅湾(コーズウェイベイ)のある香港島です。また、地域としては九龍半島がさらにふたつに分けられ、南の九龍エリアと「新界」と言われる北のニュータウンエリアに分かれます。
この4地域には6つの軌道系交通機関があります。全エリアに広がるMTR(Mass Transit Railway)、新界のニュータウンを走るLRT(Light Rail Transit)、香港島の名物トラム(二階建て路面電車)、ビクトリアピークへ向かうケーブルカー(ピークトラム)、ランタオ島に架かるロープウェイ、そして2018年に開通した高速鉄道(広深港高速鉄道)です。
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Writer: 鳴海 侑(まち探訪家)
1990年、神奈川県生まれ。私鉄沿線で育ち、高校生の時に地方私鉄とまちとの関係性を研究したことをきっかけに全国のまちを訪ね歩いている。現在はまちコトメディア「matinote」をはじめ、複数のwebメディアでまちや交通に関する記事を執筆している。
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