鉄道車両に書かれた逆三角形「▽」や矢印「↓」、どんな意味がある?
ほかにもこんな「業務用記号」が
非常ドアコック以外にも、鉄道会社によってはいろいろな「業務用記号」が車体に付いています。
おもに首都圏を走るJRの電車には、車両番号の前に黒いひし形「◆」が付いているものがあります。これは「中央本線の高尾(東京都八王子市)~南木曽(長野県南木曽町)間に乗り入れできる車両」という意味です。
中央本線には、電化されていない時代(車両に電気を供給する架線が線路上空にまだ張られていない時代)に掘られた天井の低いトンネルが複数あります。それらトンネルは後年に電化され(架線が張られ)ましたが、標準規格より天井が低い、すなわち架線の位置も低いため、標準規格の電車は入れません。
そこで中央本線で使われる電車は、この天井の低いトンネルも通過できるよう屋根を低くしたり、小型のパンタグラフを採用したりするなどの対策を施しています。その車両に「◆」の記号を付けているわけです。
ちなみにこの「◆」は、中央本線で現在使われていない車両にも付いていることがあります。臨時列車で中央本線を走る可能性がある、などのためです。
このほかJRでは、丸数字の(1)(2)が車体の隅に書かれた車両があります。これは車両の向きを示す記号です。運転台のない中間車の場合、前後の見分けがつきにくい場合がありますが、丸数字を付けることで、車両の向きが分かります。
さらに細かく見ていくと、車体には保安装置の識別や部品の収納位置を示す記号、新幹線の床下カバーにはその中にどんな機器が搭載されているかといった文字が書かれています。いつもと違う視点で車体を眺めてみると、思わぬ文字の「発見」があるかもしれません。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
かつては型式記番号の前に●を付けた横軽対策車もありましたな。
例:●クハ189 1
へえ。西日本管内ではどうなんだろ。