名古屋の「城北線」に乗る 1時間に1本、大都市の鉄道なのに「ローカル線」の理由

中央本線の駅に乗り入れるスペースはあるが…

 列車は11時15分、終点の勝川駅に到着。ここで中央本線に乗り換えられるはずですが、駅の構内にあるのは城北線のホームがひとつと、ホームから少し先に車庫らしきものがあるだけ。中央本線のホームは近くに見えません。途中の駅だけでなく、終点の勝川駅も城北線と中央本線の駅が500m弱離れているのです。

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城北線の勝川駅ホーム(手前)から中央本線の勝川駅へは500mほど歩かなければならない(2019年4月6日、草町義和撮影)。

 10分ほど歩いて中央本線の勝川駅へ。ふたつのホームの両側に線路を合計4本敷けるようになっていますが、内側2本分のスペースは線路が敷かれていません。実は、この部分が城北線の乗り入れ用スペースとして確保されているのですが、いまのところ乗り入れの時期は決まっていません。

 城北線は運行本数が少ないことや他線との連絡が不便なこともあって利用者は少なく、1日1kmあたりの利用者数(輸送密度)は2016年度で523人。JR北海道の場合、輸送密度が2000人未満の路線を「当社単独では維持が困難」としており、この基準で考えると2000人を大幅に下回る城北線は廃止されてもおかしくないレベルです。

 城北線は1960年代、中央本線と東海道本線を結ぶバイパス線として構想された路線です。当初は貨物列車だけを走らせる計画で、旅客列車が走るほかの路線との連絡を考慮しないルートが採用されました。

 工事は1976(昭和51)年に始まりました。トラック輸送の発達などで鉄道貨物輸送が衰退したため、最終的には旅客列車だけを走らせることになりましたが、国鉄が分割民営化された1987(昭和62)年4月時点では路盤工事の9割近くが完了し、完成後はJR東海が運営することになっていました。しかし、ここで問題になったのが「賃借料」です。

【地図】名古屋の北を通る城北線のルート

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コメント

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2件のコメント

  1. 仮に勝川駅の中央線までのアプローチと名駅までの乗り入れが果たせたとしても、沿線のほとんどのエリアは既に他の鉄道やバスで都心へのアクセスも確保されているし、クルマ利用率の高さ、運賃や高架駅が故のバリアフリーの不便さを考えると敢えて利用があるのか不透明。

  2. 城北線は多数の客が向かいたい方向に向かってないからなぁ。
    ここが愛環や伊勢鉄と違うところ。