名古屋の「城北線」に乗る 1時間に1本、大都市の鉄道なのに「ローカル線」の理由
名古屋の北側でJR東海道本線と中央本線を東西に結ぶ東海交通事業城北線。線路は複線の高架橋ですが、日中は1両の列車が1時間に1本走るだけです。沿線人口は多いのにローカル線のようなのは、国鉄時代の「ルール」が影響していました。
1両のディーゼルカーが複線を走る
名古屋駅からJR東海道本線の下り普通列車に乗って、ひと駅先の枇杷島駅(愛知県清須市)で下車。ここから名古屋市西区を東に進んで11.2km先の勝川駅(愛知県春日井市)に至る、「城北線」という鉄道路線があります。運営しているのは東海交通事業。JR東海の子会社です。
2019年4月6日(土)、枇杷島駅から城北線に乗ってみました。ホームに停車しているのはモーターで動く電車ではなく、エンジン音を響かせるディーゼルカーで、1両だけ。客も10人くらいしか乗っていません。沿線の人口は多いのに、まるでローカル線のようです。
それだけではありません。時刻表を見ると、1日の運行本数は平日で27往復。土曜はさらに減って21往復になり、休日は19往復しか走っていません。日中は1時間に1本です。
列車は10時58分に枇杷島駅を発車。徐々に高度を上げ、コンクリートの高架橋を進んでいきます。線路は複線(2本)で、運行本数が少ない割には列車をたくさん走らせることができるように見えます。
ただ、電車に電気を送る電線(架線)はありません。架線を支える柱もなく、それを設置する台座があるだけです。おかげで高架橋からの見晴らしは良好。眼下には名古屋の市街地が広がっていました。
途中、名古屋の中心部に乗り入れている鉄道路線の線路が下に見えますが、交差地点に連絡駅はありません。たとえば、味美駅(愛知県春日井市)の少し先で交差している名鉄小牧線に乗り換える場合、味美駅から北へ約800m歩き、小牧線の味美駅に向かう必要があります。
仮に勝川駅の中央線までのアプローチと名駅までの乗り入れが果たせたとしても、沿線のほとんどのエリアは既に他の鉄道やバスで都心へのアクセスも確保されているし、クルマ利用率の高さ、運賃や高架駅が故のバリアフリーの不便さを考えると敢えて利用があるのか不透明。
城北線は多数の客が向かいたい方向に向かってないからなぁ。
ここが愛環や伊勢鉄と違うところ。