【廃線跡の思い出】距離わずか0.1km 廃止後も残っていた箕面温泉ケーブルカーの車両

営業距離がわずか0.1kmというケーブルカーがありました。それが箕面温泉ケーブルカー(箕面鋼索鉄道線)です。廃線から1年後に訪問しましたが、それから23年後に訪れたときには、違った光景が展開していました。

廃止後2度目の訪問

 営業距離が日本一短い鉄道事業者といえば、普通鉄道では全長が2.2kmしかない千葉県の芝山鉄道(第三種鉄道事業者は2.0kmの和歌山県)。特殊鉄道を含めると、全長0.2kmの鋼索鉄道(ケーブルカー)を運営している鞍馬寺(京都市左京区)になります。

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箕面温泉ケーブルカーの廃線跡。山下駅のホームや線路は草木に埋もれながらも残っていた(2017年2月、草町義和撮影)。

 しかし、過去には0.1kmだけしか営業していなかったケーブルカーがありました。

 2017年2月のある日、関西での取材の合間に箕面温泉(大阪府箕面市)を訪ねました。ちょっと温泉に入って体を休めようと思ったのが、理由のひとつ。そしてもうひとつの理由は、かつてここにあったケーブルカーの跡地がどうなったのかを、23年ぶりに確かめるためでした。

 箕面温泉は阪急箕面線の終点、箕面駅から歩いて数分のところにあります。ただ、温泉施設は箕面山の山腹に建設されたため、山麓と温泉施設の結ぶケーブルカーも整備されることに。1965(昭和40)年5月、箕面温泉の運営会社だった大阪観光がケーブルカーの地方鉄道免許を取得し、同年10月に開業しました。

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山腹にある温泉施設からは大阪の街並みがよく見える(2017年2月、草町義和撮影)。

 運輸省鉄道監督局監修『私鉄要覧』(1975年度版)によると、運行区間は山麓の山下駅から温泉施設がある山上駅までで、距離はわずか0.1kmでした。しかも、『私鉄要覧』の摘要欄には「無償」と記されています。箕面温泉の客はタダで乗ることができました。

 1990年代に入ると、山麓と温泉施設を結ぶエレベーターが整備されたため、ケーブルカーは1993(平成5)年4月で休止。同年7月には正式に廃止されました。

 それから1年以上が過ぎた1994(平成6)年12月、阪急線の乗りつぶし旅行のついでに箕面温泉を訪ねました。ケーブルカーに乗ることはできませんでしたが、線路や架線などはほぼそのまま残っていて、山下駅のホームには赤い色をした小さな車両が放置されていました。

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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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