東急、なぜ池上線に力を入れるのか? 進む「池上エリアリノベーションプロジェクト」

池上エリア、ただちに困っているわけではないが…

「池上は、まだ困っていません。駅前は賑わっていますし、チェーン店もたくさんあります。ですが、空き家が多い、インフラ設備が老朽化しているなど、課題はあります。そして到来する人口減少社会で、遠くない将来には活気を失うかもしれません。『未病』という言葉がありますが、長いスパンで見たときに、居住者にも来訪者にも居心地が悪い街だと思ってほしくありません。思われないために、いまから地域の方と知恵を出し合い、問題を起こさないようなまちづくりをしていきたいです」(東急電鉄 ビル運営事業部課長補佐 磯辺陽介さん)

 池上エリアは都内でも高い空き家率で、これらの遊休資産を活用したまちづくりを進めるとのこと。事業を起こしたい人材を誘致し、空き家や空き店舗のリノベーションをしながら、持続的なまちづくりに参画できるよう創業支援を行うといいます。また、公園や道路を含む公共施設も活用し、魅力的な都市機能の充実も図りたいとしています。

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シンポジウムで講演する、東急電鉄の東浦亮典執行役員(2019年6月4日、大藤碩哉撮影)。

 また6月4日(火)には、地域の人を主な対象にしたシンポジウム「これからの池上のまちづくり」を開催。東急電鉄の東浦亮典執行役員も登壇、プロジェクトの概要を説明しました。

「いままでは、渋谷やたまプラーザの再開発に力を入れてきましたが、今度は池上の番です」と東浦亮典執行役員。

 定員の倍を超える約400人が参加し、関心の高さが伺えました。

 2015年9月から池上線戸越銀座駅(東京都品川区)で行われた駅の「木になるリニューアル」や、2017年10月9日(月・祝)の「開通90周年記念イベント 10月9日池上線フリー乗車デー」といった取り組みは、沿線でのまちづくり機運醸成のためのきっかけづくりだったと東急電鉄はいいます。今後も、大田区内の東急線沿線で、まちづくり推進プロジェクトの展開を検討しているそうです。

【了】

【写真】池上駅の古材を使ったカフェ内部

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