現役最速! 海自はやぶさ型ミサイル艇の退役時期と北辺を守る余市基地の悩ましい話

海上自衛隊のはやぶさ型ミサイル艇が、まもなく退役の時期を迎えようとしています。ところが後継艦艇の建造計画は聞こえず、今後、同艇を配備し北海道の北辺を守る余市基地のあり方を左右することになるかもしれません。

海自最北の艦艇配備基地「余市」

 そうしたなか、はやぶさ型ミサイル艇のみが配備されている余市基地(北海道余市町)にとっては別の問題があります。

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余市基地の浮桟橋に繋がれた「わかたか」。マストの前にある円盤形のものは射撃用レーダー(月刊PANZER編集部撮影)。

 はやぶさ型は大湊(第1ミサイル艇隊)、舞鶴(第2ミサイル艇隊)、佐世保(第3ミサイル艇隊)の3つの地方隊に2隻ずつ配備されていますが、舞鶴と佐世保については、司令部である地方総監部所在の基地に配備されているのに対し、大湊だけは地方総監部所在基地から独立して、北海道沿岸防衛のため、余市に配備されています。

 この余市基地よりもさらに北の稚内市に、海上自衛隊最北の基地となる稚内基地がありますが、そちらは宗谷海峡の警戒監視や、稚内港に入港する海上自衛隊艦艇への支援がおもな任務です。そのため各種艦艇は配備されておらず、その点で余市が艦艇配備基地としては最北となるのです。

 余市基地には余市防備隊が置かれ、はやぶさ型ミサイル艇の「わかたか」と「くまたか」を配備、この2隻で第1ミサイル艇隊を編成しています。人数は100人もいない小さな基地・部隊ですが、それでも小樽港などの道央地区の港湾に入港する海上自衛隊艦艇の支援にあたったり、第1ミサイル艇隊は北海道西部の海域に進出し、周辺を往来するロシア艦艇の警戒監視活動に従事していたりします。

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余市基地の外観。街の小中学校程度の広さしかない(月刊PANZER編集部撮影)。
余市基地には防備隊本部所属の支援船も配備されている(月刊PANZER編集部撮影)。
「わかたか」と共に余市に配備されている「くまたか」(画像:海上自衛隊)。

 余市の次に戦闘艦艇が配備されている基地となると、函館基地か青森県の大湊基地(むつ市)になります。このふたつは津軽海峡に面しており、宗谷海峡までは直線距離でもおよそ500kmあるため、航空機ならばあっという間ですが、艦艇の場合はほぼ丸1日(15時間から18時間)かけないと到達できません。

 その一方、宗谷海峡はロシア太平洋艦隊の軍艦が日本海とオホーツク海、西太平洋を行き来するのに重要な航路となっています。その点で、宗谷海峡まで約280kmと大湊の半分ほどの位置にある余市に、俊足のミサイル艇が配備されているのは重要なことなのです。

 ただし前述したように、はやぶさ型ミサイル艇もそろそろ耐用年数が近付いているのは確かです。他方で、余市基地の規模は小さく、FFMが入港することはできません。道央地区の海上自衛隊艦艇の入港支援や地元自治体との調整も必須なので、基地自体がすぐになくなることはないでしょうが、余市防備隊をどうするのか、具体的には、基地機能を拡大するのか、新たな小型艇を配置するのか、はたまた稚内のように警戒監視と入港支援に特化するのか、日本最北の艦艇配備基地は岐路に立たされているのです。

【了】

余市基地の浮桟橋に繋がれた「わかたか」。マストの前にある円盤形のものは射撃用レーダー(月刊PANZER編集部撮影)。

【写真】荒れた海にも対応する職場、はやぶさ型の艦橋内部

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

1件のコメント

  1. 既にミサイル艇と言う艦種が戦術的に不要になったと言うこと。

    不審船を追いかけるのに都合が良いからそう言う任務もあったが、

    海保にも高速船があるし必要無くなった。はやぶさ自身も搭載しているが対艦ミサイルの

    進化によって敵艦に高速で近づくミサイル艇自体が不要になってしまった。

    戦術的にはミサイル艇である必要が無いし戦略的にはミサイル艇より大きい艦の方が良い。

    よって今後は作られないし余市がどうなるのかは知らない。

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