東京メトロ丸ノ内線の方南町駅が6両に対応 都心直通の「座れる始発列車」もデビュー
「新しい始発駅」それぞれの事情
始発駅は、その駅からだと座れる可能性が高く、始発列車がある駅は住宅地として高い人気があります。北綾瀬駅の周辺ではマンションの建設が進み、都心直通列車の「新しい始発駅」となった方南町駅の周辺でも、「座れる始発駅」をウリにしたマンションが建設されました。東京メトロはこうした駅周辺の開発による利用者の増加にも期待を寄せています。
これに対して浦安駅の始発列車新設は、事情が異なります。東西線で最も混雑するのは朝7時50分~8時50分の木場→門前仲町間で、混雑率は199%(2017年度)という激しさ。「早起きすれば、始発列車で座って通勤できる」可能性を高くすることで早朝通勤への切り替えを促し、ピーク時の混雑を緩和しようというもくろみがあります。
記者(草町義和:鉄道ライター)は2019年3月のダイヤ改正以降、浦安始発の列車を何度か利用しています。ダイヤ改正直後は出発間際に乗っても座れましたが、その後は「始発列車狙い」の客が急速に増加。いまでは発車時刻の10分前に並んでも座れないことがあり、人気の高さがうかがえます。
ただ、「新しい始発駅」が便利になっても、別の駅を利用している人にとっては、必ずしも利便性が向上するわけではなく、路線全体で利用者の理解を得るのは難しいといえます。東京メトロ運転部輸送課の米元和重課長も、「新しい始発駅」については「歓迎する意見と、そうではない意見の両方が寄せられています」と話しました。
東京メトロによると、方南町駅から都心に直通する列車の新設により中野坂上駅で乗り換える客が減り、同駅のホームの混雑が緩和。列車の遅れも抑えられるといいます。利用者の理解を得ながら「新しい始発駅」を設けるには、路線全体で利便性向上やサービス改善を図る策をセットで行えるかどうかが、大きなポイントになりそうです。
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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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