実際に起きた「東京駅 超特急つばめ号殺人事件」現役首相が被害者 現場はいわくつき?
東京駅赤れんが駅舎の床に印された歴史的事件の跡
当時の東京駅は長距離列車の場合、乗車用と降車用の改札口が別々で、それぞれ1か所ずつしかありませんでした。乗車用が南口(赤れんが駅舎南ドーム内)、降車用が北口(同北ドーム内)です。中央口は皇室専用などで、八重洲口側には改札口がありませんでした。
現在、東京駅の赤れんが駅舎南ドーム内(丸の内南口改札を出た所)の乗車券自動販売機付近の壁に「原首相遭難現場」の解説板、付近の床にその地点を示す印が埋め込まれています。
東京駅は1923(大正12)年9月1日の関東大震災では、周囲の広域火災で留置線などの車両が多数焼失したものの、赤れんが駅舎はほとんど被害がありませんでした。
一方、太平洋戦争では1945(昭和20)年5月25日、B29による空襲で北口のドームに焼夷弾が落ち、火は駅舎の中を中央口から南口へと燃え広がってしまいました。内部はほぼ丸焼けとなり、1947(昭和22)年に2階建てとして復旧、平成24(2012)年に3階建ての戦前の姿に復元されました。
現在、東京駅赤れんが駅舎は、周囲に林立する高層ビルに見下ろされながらも、威風堂々とした貫禄を感じさせています。構内には様々な魅力的なショップも入店しています。東京駅で時間に余裕があるときに一度、いくつかの事件に思いを馳せながら構内を歩いてみるのもいいと思います。
【了】
Writer: 内田宗治(フリーライター)
フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。
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