「のぞみ12本ダイヤ」スタート 最高速度統一でなぜ運転本数増えるのか 所要時間も短縮
高頻度運行が大きな特徴の東海道新幹線。それがさらに進化し、「のぞみ12本ダイヤ」が始まりました。700系の引退による全列車の最高速度285km/h 化といった車両性能の統一などで実現したもので、平均所要時間も短くなっています。
「新幹線」の強み より強くなった「のぞみ12本ダイヤ」
東海道新幹線が2020年3月14日(土)のダイヤ改正で、ひとつの大きな節目を迎えました。全営業列車の走行性能が統一され、「のぞみ12本ダイヤ」がスタート。「新幹線の特徴」がさらに進化したのです。
ポイントは「ダイヤ設定」にあります。
東海道新幹線では今回、最高速度270km/h、起動加速度2.0km/h/sの700系電車が引退。全営業列車の車両が285km/h、2.6km/h/s、カーブを速く走れる車体傾斜装置付きのN700系(N700A)電車になりました。
かんたんにいえば、順番に発車する列車、その列車が速いほど線路が空くのが早いので、次の列車はより早いタイミングで発車可能――すなわち、より多くの列車を走らせることが可能になります。
この理屈で、速い車両に統一された東海道新幹線は、1時間あたりに運転できる「のぞみ」の本数が、これまでの最大10本から12本へ増加しました。速さだけでなく、多くの列車を運行し、大量の旅客を安全に、安定して輸送できることが大きな特徴である、日本の高速鉄道「新幹線」。その強みが、さらに高められたのです。
「久々の大きなダイヤ改正になりました。『新幹線の魅力』はいろいろありますが、ひとつはフリークエンシー、頻度です。これまで金曜の夕方、ゴールデンウィーク、連休中など、好きな時間帯にお乗りいただけないこともありましたが、そうしたときもご要望に応えられるようになりました」(JR東海 金子 慎社長)
これまで、すでにその高頻度運行具合が「過密ダイヤ」と表現されることも多かったなか、今回さらにそこが進化した東海道新幹線。スタートしたこの「のぞみ12本ダイヤ」は、走行性能の統一のほか、東京駅における折り返し時間(清掃所要時間など)の短縮といったさまざまな工夫の積み重ねで実現しています。
JR東日本の東北上越北陸新幹線(+2本の直通線)は、一編成の両数が違うとはいえ、東京駅の4面ホームで最短4分間隔。東海の同6面ホームで5分間隔になっても、さほどの驚きはない。
最高速度の高さより加速度の高さがこだまに必要だったんだろう。阪神のジェットカーと同様に。
あまり感染症に関係した旅行自粛が長く続くようであれば、また"のぞみ"毎時10本体制に戻して、東京駅の清掃員には多少余裕をもって掃除してもらうようにしてはどうか。