【空から撮った鉄道】狭隘地にある天下分け目の古戦場「関ヶ原」 東海道本線と東海道新幹線が行く

東海道本線と東海道新幹線は、岐阜県と滋賀県の県境で戦国時代に天下分け目の戦場となった関ヶ原地区を通ります。関ヶ原は南北から山々が入り組む狭隘地で、線路は山々を縫ったり貫いたりしています。今回は写真に「関ヶ原の戦い」の陣も記しましたので、天下分け目の戦いに触れながらご覧ください。

関ヶ原の地形を意識して撮影

 関ヶ原は岐阜県と滋賀県の県境にあり、北は伊吹山に代表される伊吹山地、南は鈴鹿山脈に挟まれ、山々が入りくんだ狭隘(きょうあい)地を成しています。さらに古来より交通の要衝で、東西を横断する中山道に、南から伊勢街道、北へ北国街道が離合し、近畿・東海・北陸・関東を結ぶ街道が集まっていました。ご存知のように「壬申の乱」や「関ヶ原の戦い」の古戦場でもあり、「天下分け目の関ヶ原」という言葉はあまりにも有名ですね。

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関ヶ原を西から見る。東海道本線と東海道新幹線が交差する地点。「関ヶ原の戦い」西軍側から見た。写真右端の松尾山に陣を敷いた小早川秀秋隊が寝返り、東海道新幹線の左側の小山に陣を敷いた大谷吉継の隊へ攻撃開始。ここは優勢だった西軍が総崩れとなるきっかけとなった地点だ(2014年8月5日、吉永陽一撮影)。

 関ヶ原を空撮したのは2014年の夏です。「空から撮った鉄道」の記事で何度か取り上げた、中京圏空撮の一環でした。天下分け目の決戦があった地にある鉄道は、はたしてどのようになっているのでしょうか。

 当日は県営名古屋空港を離陸してから稲沢の貨物基地を撮影し、名神高速道路と東海道新幹線を撮影。そのまま新幹線に沿って濃尾平野を西進します。岐阜羽島駅から数分、前方には山が迫ってきました。左翼側は鈴鹿山脈、右翼側は伊吹山地の山々が連なっているのが見えます。伊吹山地の尾根が広げた掌のように平地を覆い、鈴鹿山脈の南宮山の尾根もせり出し、平地はすっかり飲み込まれました。

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関ヶ原トンネルを抜けた東海道新幹線N700系は近江長岡の田園地帯を進み、横山トンネルへ潜る。その先は琵琶湖が広がる(2014年8月5日、吉永陽一撮影)。
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1番目の写真の地点を東から。東海道本線と東海道新幹線が交差する地点。東海道新幹線が緩やかなカーブで西進しながら県境の山々を関ヶ原トンネルで穿つのに対し、東海道本線は南へカーブして山々を避けて県境を越えている(2014年8月5日、吉永陽一撮影)。

 セスナ機は山々より高所を飛んでおり、平野部から一気に狭隘地となる地形が手に取るように分かります。谷間というほどのV字状地形ではありませんが、平地部分は少ないです。平野部では晴れていましたが、ここでは雲も集まってきており、じきに天候が悪くなりやすそうな場所だなと感じました。

 セスナ機の前方は、南北から迫り出してきた山々が複雑に入り組んでいます。その先に見えるのは琵琶湖です。ひとまず私は米原駅を空撮するため関ヶ原を越え、10数分後再び戻ってきました。あまり琵琶湖周辺で撮影していると、関ヶ原に集まってきている雲が低く立ち込めてしまうからです。雲がべったりと山肌にまとわりつくほど立ち込めた場合は、安全のため迂回せねば名古屋へ戻れません。それだけで時間を食ってしまうのはもったいない。近江鉄道も撮りたかったのを諦めて戻り、再び入りくんだ山々の上を通過する時は気流も悪く、かなり揺れました。

 関ヶ原に戻ってきました。街道が集まる交通の要衝は鉄道も同じでして、東海道本線は「新垂井線」と呼ばれる、1944(昭和19)年に出来た勾配緩和の迂回線の離合があります。関ケ原駅から米原駅へ至る線路も、くねくねと山肌に沿いながら曲がっています。いっぽう飛行前から気になっていた東海道新幹線は、さすが高速鉄道というだけあって、入りくんだ山々を緩やかなカーブと直線で貫いています。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

 
    
 
    

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