初乗り運賃日本一の私鉄「市営化で大幅値下げ」のナゼ 競合の市バスはドル箱 共存可能?

最大のライバル市バスはほぼ変化なし 利用者増える?

 神戸市北区の「神戸北町」エリアと三宮を結ぶ64系統は、日の峰、大原といった戸建て住宅が多いエリアを通過し、神戸電鉄箕谷駅(谷上駅からひと駅西)の近辺から、有料道路の新神戸トンネル(8.5km)を経由してJR三ノ宮駅前に向かいます。平日朝には1時間あたり24本も運行され、年間1億円近い利益を稼ぐ、市バスの顔ともいえる路線です。

 北神線の市営化が話し合われる過程で、64系統の運転本数は北神線の市営化とともに1時間2本ほどの本数削減と、谷上方面への系統新設が住民へ提案されました。

 神戸北町から三宮への運賃としては、市バスから地下鉄への定期旅客向けの乗継割引を考慮すると、谷上駅および北神線経由の方が若干安くなります。しかし、いままで直通だったバスが谷上を経由することによる時間のロスは大きく、ましてやバスが通る県道15号(有馬街道)は渋滞も多発しています。また新神戸トンネル手前の巨大な駐車場に自家用車を停めバスに乗り換えるパーク&ライドの人も多く、そこからさらに谷上側へ迂回を余儀なくされるバス+北神線へのシフトは、すぐには難しいと思われます。

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新神戸トンネルに入る神戸市営バス64系統(2018年5月、宮武和多哉撮影)。

 バスの本数削減に異論も多く見られた結果、64系統の本数はほぼ変わらず、箕谷・神戸北町~谷上駅間のバスはほぼ朝晩のみ10数本という、やや中途半端な状態で北神線の市営化を迎えることとなりました。

 しかし有料の新神戸トンネルを通る64系統バスも、片道500円という高額運賃が今後のネックになるでしょう。値下げの要望は長年にわたりなされていますが、新神戸トンネルの通行料が下がらない限りバスの値下げも難しい状況で、しかも新神戸トンネルは2012(平成24)年に神戸市道路公社から阪神高速道路へ移管されています。ましてや北神線の市営化および運賃値下げに大幅投資を行ったなか、二重投資ともなるバスの値下げに神戸市が踏み切るとは考えづらい状況です。

【路線図】「ひと駅間だけの鉄道」変化 北神線とその周辺

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コメント

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1件のコメント

  1. 初乗りって言い方にかねがね違和感。駅間は皆違うので誰しもこの値段で必ず乗れるわけではない。タクシーのそれとは違う。