新型ミサイル搭載で戦闘ヘリは生き残れるか? AH-64E「ガーディアン」の実力と今後
更新迫る陸自戦闘ヘリ その選択は…?
機体の持つ高い性能に加えて、「スパイクNLOS」のような新たな兵装を搭載する構想もあることから、AH-64Eは製造開始からわずか7年で製造機数が500機を突破したといえますが、実のところ500機のかなりの部分は、AH-64Dからの改修機によって占められています。
AH-64Eは2020年6月の時点で、アメリカ、インド、台湾、韓国、カタール、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、エジプト、オランダ、イギリス、インドネシアの11か国に採用されており、このうちオランダとイギリス、エジプトは全機がAH-64Dからの改修です。またアメリカとUAEの保有するAH-64Dはその多数が、AH-64Eに改修するための作業を進められています。
アメリカ陸軍は保有するAH-64Dの大部分をAH-64Eに改修して、2060年まで運用する方針ですが、その一方でAH-64Dのサポートについては、段階的に縮小していく方針も明らかにしています。
陸上自衛隊は2020年6月の時点で、12機のAH-64Dを保有していますが、AH-64Eに改修するか否かは決定していません。陸上自衛隊の保有するもうひとつの戦闘(対戦車)ヘリコプターであるAH-1S「コブラ」は老朽化のため急速に退役が進んでおり、早急に後継機の導入が望まれます。
AH-64Eは高価なため、AH-1Sのように90機を導入することは困難ですが、現在、保有しているAH-64DをAH-64Eに改修すると共に新造機を一定数導入し、UAVと組み合わせることで、機数は少なくとも戦闘ヘリコプター戦力を維持することは可能であり、検討に値すると筆者は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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