成田にほんとにあった世界唯一の「ジャンボ機丸洗いマシーン」 そのトホホな顛末

世界唯一の自動洗機装置 なぜ無くなった?

 世界唯一の航空機自動洗機装置は、当時JALの主力機であった「ジャンボ」ことボーイング747シリーズを洗うため、JAL(日本航空)と川崎重工が共同開発したもので、成田空港の整備場の一角にありました。

 場所でいうと空港のすぐ近くにある、芝山鉄道芝山千代田駅からみえるエリアです。実際にこの装置を使って、5000機以上の「ジャンボ」が洗浄されたという報告も。ところがこの装置、「ジャンボ」の退役に伴って撤去されてしまいます。

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成田空港にあった「自動洗機装置」(画像:川崎重工業)。

 撤去の理由を関係者に聞いたところ、実はこの装置には弱点があったそう。というのも、同じ「ジャンボ」といっても、実は1機ごとに微妙に個性があるとのこと。たとえば速度を計る装置である機首部分の出っ張り「ピトー管」などは、それぞれの機体ごとに出っ張りが微妙に異なっていたこともあったといわれています。こういった特性を、それぞれ設定し直さなければならない難しさなどもあり、「ジャンボ」の退役を機に、手作業で洗浄する方針となったそうです。

 ちなみに航空機の洗浄は、タイミングが良ければ一般の人でも体験することができます。千葉県芝山町にある航空科学博物館では、過去に航空会社が開催した整備に関するお仕事体験のひとつとして、機体の洗浄体験がありました。3mもあるモップで飛行機の胴体を洗浄するのですが、子供たちだけでなく、大人も楽しそうに機体を洗浄していたのが印象的です。

 ちなみに、洗車機の例でいうと筆者も自家用車を持っていますが、車検の時に洗ってもらう以外は、基本的に雨にお任せしています。

【了】

貴重! 成田空港「自動洗機装置」による洗浄シーン

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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4件のコメント

  1. 海上を低空で飛ぶP-3Cは帰投すると水を浴びて塩分を落とす。
    エプロンの手前の地面から水を噴出し、ペラを回していればほぼ機体全体に行き渡るそう。
    ジェット化されたP-1だと手洗いかな?

  2. 作者のコメントの、
    「車機の例でいうと筆者も自家用車を持っていますが、車検の時に洗ってもらう以外は、基本的に雨にお任せしています」
    意味不明ですね、車検時以外車を洗わないって、どんだけ汚い車?
    じつは、車を持っていないのでは?とおもってしまいます。

    • 洗車の頻度は人の勝手だけど見るからに蛇足だな。

    • たしかに蛇足だな。
      飛行機と全く関係ないとこだけわざわざ言及してコメント残すとか、雨で車は汚れます。はどれだけ暇なんだか