23年ぶりの「秘境ターミナル直通快速」大盛況! 使いやすくなった「西日本屈指のローカル線」まだまだ“伸びしろ”アリ!?

広島と備中神代を結ぶJR芸備線で、2025年7月19日から、列車の増便が行われています。同線存続の可能性を探るために国の再構築協議会が行っている実証事業です。どの程度利用されているのか、初日の臨時列車に乗りました。

芸備線で臨時列車を運行

 広島駅と岡山県新見市の備中神代駅を結ぶJR芸備線。中国地方の山間部を走る閑散区間の存廃が議論されるなか、その区間の利便性を高める実証実験として、期間限定の増発が始まりました。

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広島発・備後落合行きの臨時快速列車(安藤昌季撮影)

 全線で159.1kmという芸備線のうち、広島~下深川間は20~30分に1本運行され、都市近郊路線といえます。三次までも1時間1本程度運行され、快速も走る路線です。しかし三次~備後落合間、特に備後庄原~備後落合間は1日に下り5本、上り4本と極端に本数が減ります。

 さらに備後落合で系統分離され、備後落合~東城間は1日3往復。この区間はJR西日本で最も利用が少ない区間であり、2020年で1日9人しか利用していません。そして東城~備中神代間(全列車が伯備線の新見駅に直通)は6往復です。

 芸備線はかつて広島~米子間の急行「ちどり」も運行されていましたが、現在は備後庄原~東城間は5~8時間も列車が走らないなど、利便性が低い状況です。

 このため、JR西日本は2022年、「特定の前提を置かずに、将来の地域公共交通の姿についても速やかに議論を開始したい」と沿線自治体に要請。沿線自治体は「廃線ありきは認められない」として拒否したことから、翌年「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、再構築委員会が設置されました。同委員会には国も参加して、利用促進、バス転換を含む将来像を話し合い、3年以内に鉄道の存続か廃止かの方針をまとめるとしています。

 国はJR芸備線の備後庄原~備中神代間について「地域経済効果の最大化と検証」を目的として、実証実験としての臨時列車を運行させると決めました。それを受け、JR西日本は2025年7月19日~11月24日の土休日に、新見~備後落合間と備後落合~広島間で、それぞれ1日1往復の臨時列車を運転することになったのです。

広島駅に「備後落合」行き登場 所要時間は?

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は運行初日の7月19日(土)、広島駅を訪れました。朝8時20分頃、芸備線が発着する9番線には、オレンジの国鉄首都圏色に塗られた国鉄形キハ47形気動車が2両編成で停車していました。8時47分にこの下深川行きがほぼ座席を埋めつつ出発すると、いよいよ9時7分発の臨時快速・備後落合行きがやってきます。

 ホームにも、明らかに臨時列車を待つ人が増え、70人ほどが集まります。列車はキハ120形気動車2両です。2両目は庄原市のラッピング車両で、インパクトがあります。列車が入ると、車内のボックスシートは一瞬で埋まりました。備後落合まで約3時間かかるため、指定席にしても人気が出そうです。

 ちなみに広島発の「備後落合行き」は、2002(平成14)年に廃止された急行「ちどり」以来です。そのため、珍しい行き先に多くのカメラが向けられていました。

 駅の発車案内板には臨時快速「庄原ライナー」備後落合行きと表示されています。臨時運行初日ですが、セレモニーなどは特になく、広島駅で広告の掲示も見かけませんでした。後述しますが、芸備線の沿線地域は非常に力を入れているため、広島側でも宣伝してほしいと感じます。

【写真】臨時列車の初日の様子を見る

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コメント

1件のコメント

  1. 備後神代って?

    備中神代でしょう…