コロナで乗り方変革「ANA国内線」のいま 感染対策が実は「快適性」にも好影響…なぜ?
感染策向上で降機時のストレス軽減のワケ
トイレについては、国内線は毎便、発着のあいだに清掃されています。このほかANA広報部によると、巡航中もCAが適宜トイレの清掃をするよう奨励しているとのことです。
そして最も大きく変わったのが、降機の際の対応でしょう。飛行機はひとたびドアが閉まれば、およそ2分から3分で機内の空気がすべて入れ替わる設計です。高性能フィルターも搭載されています。その入れ替わる空気の流れも他人と同じ空気を共有しやすい前後方向ではなく、天井から床下へ流れます。つまり静かに乗っているぶんには、交通機関としての空気のキレイさは折り紙付きとされています。
とはいえ、空の旅におけるウイルス対策で最も危惧すべきなのは、降機の際の“密”とも。航空機メーカー、エアバスも過去に「早く降りたいと通路で列を作るのは、リスクを高める可能性がある」といった趣旨のコメントをしています。
ANAの国内線ではこれを防ぐべく、前からブロックごとに分けた降機を案内しています。ボーイング787型であれば、最初に9列目までの乗客が降機、1分から2分ほど経過しその列の旅客が降りたら次は19列目まで、といった具合で、かつ「自分の列が来るまで席を立ってはいけない」とアナウンスがあります。
この方法ではもちろん密を防げるほか、「早く降りたい人達」が列をなし、かつ手荷物を下ろすのに通路をふさいでしまった結果、その人たちから無言の圧力を感じる……といった「降機時あるある」なことも少ないので、心理的にも圧迫感も感じづらく、その意味で快適性もプラスです。いつもの混乱が少ないぶん、降機までの時間もそこまで大きな変動もないどころか、心理的には、かえって早く降りられたと感じる人もいるでしょう。
なお、こういった一連の取り組みを同社は「ANA Care Promise」として打ち出しており、引き続き時代に合わせた衛生対策を講じるとしています。
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