「天王洲アイル」って何? 東京近郊カタカナ入り駅名の由来 実は戦略的な横文字採用

セントラルパークなんて存在しない「流山セントラルパーク駅」

 一方、埼玉県の巨大なショッピングセンター、イオンレイクタウンに直結している越谷レイクタウン駅(JR武蔵野線)は、施設名ではなく周辺一帯のニュータウンに由来する名称で、駅を含む周辺の住所まで「越谷市レイクタウン」となっています。

 路線自体が21世紀に誕生したつくばエクスプレスも、ニュータウンっぽい名前の駅がいくつもあり、カタカナ交じりの駅としては流山セントラルパーク駅と、柏の葉キャンパス駅が挙げられます。

 このうち後者は、千葉県立の「柏の葉公園」と、東京大学柏キャンパスがあることから、両者を掛け合わせた駅名に。ただ周辺一帯の開発コンセプトとして「柏の葉国際キャンパスタウン構想」なるものもあり、天王洲アイルや東京テレポートと同じような由来ともいえます。

 異色なのは流山セントラルパーク駅です。周辺に「セントラルパーク」なるものはありません。流山市総合運動公園があり、市民アンケートの結果からも「流山運動公園駅」で決まりかけたのですが、「新しい街づくりの方向性を示せる」「未来をつくっていく若い市民の感覚も大切にする」ことなどから、開業5か月前に現駅名が決まりました。

Large 201022 katakana 02
ニュータウンっぽい駅名が多いつくばエクスプレス(画像:首都圏新都市交通)。

 井崎義治流山市長は2013(平成25)年、東洋経済新報社のインタビューにおいて、「この駅名がついたことで、街に比較的高級なイメージが涌くため、マーケティング戦略を進めることができた」と振り返っています。マンション開発会社なども、街のブランド化に本気で取り組むようになった大きな転機だったそうです。

 このようにカタカナ入り、英語入りの駅名は、地域のコンセプトやイメージ戦略を反映していることがあります。駅直結のショッピングモールを閉鎖し、より広域に再開発したエリアの街びらきにともない、駅名を「南町田」から改称した東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅のように、既存駅を変える例も今後増えるかもしれません。

【了】

【地図】セントラルパークがない!? 流山セントラルパーク駅周辺

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

4件のコメント

  1. カタカナではないですけど、なぜ伊豆急下田は伊豆下田ではないのかとか、日比谷線の行き先に東武動物公園というのがあったりとか面白いですね。

  2. 伊豆急下田駅が開業した当時、下田駅(現青い森鉄道:東北本線(現青い森鉄道線))、下田駅(現香芝駅:JR和歌山線)、近畿日本下田駅(現近鉄下田駅:近鉄大阪線)と「下田駅」だけで3駅あったし、「伊豆急の下田駅やで」とアピールしたいところもあったんでしょう、知らんけど。
    東武動物公園駅はそりゃあ「東武がやってる動物公園」の最寄駅だからでしょう。反対側には「上野動物公園」があるわけですし。

  3. ヘタに長いと道を聞くときとか困るよね えーっと流山何とかパーク駅ってどこですかってね

  4. さすがな高輪ゲートウェイと天王洲アイルは類似の例じゃないな。
    高輪の場合は、グローバルゲートウェイ「品川」って言ってるじゃん。品川なんだよ。だから地元から反対が起こってんだよ。天王洲の場合、芝浦アイル計画なんか無いからね。