“食用油”で旅客機飛ぶの? ANAが国内新導入 ”脂身”生まれの新燃料「SAF」って?
ANAが日本発の通常定期便に、国内で初導入したのは、「SAF」と呼ばれる燃料です。聞きなれない単語ですが、「SAF」はどのようなものなのでしょうか。また、この導入には、どんなメリットがあるのでしょうか。
廃食油や動植物油脂などが原料
ANA(全日空)が、国内の航空会社として初めて「SAF」と呼ばれる燃料を、日本発の通常定期便に導入。これに先駆け2020年11月6日(木)、SAF燃料を用いたANA機(羽田発ヒューストン行きのNH114便、ボーイング787-9型機で運航)の出発の様子が報道陣に公開されました。
聞きなれない「SAF」という言葉、これは「Sustainable Aviation Fuel」の略。直訳すると「持続可能な航空機の燃料」となります。かつては「バイオジェット燃料」と呼ばれていたもので、様々なものを原料にし、生成することで作ることができるため、二酸化炭素の排出削減にもつながるエコな燃料です。
ANAが導入した「SAF」燃料は、食卓で使用した「天ぷら油」などに代表される「廃食油」、加工肉を作ったあとの脂身部分(いわゆるラード)などに代表されるような、「動植物油脂」といったもの原料とし、これを従来のジェット燃料と混ぜ飛行機に使えるようにしたとのこと。
使用するのは、フィンランドに本社を置くNESTE社から供給されるもので、国際的な燃料の安全規格もクリアしています。また、給油までのオペレーションも「いつもの燃料と同じように使える」(ANA)といいます。
ANAでは、2050年までに航空機の運航で発生する二酸化炭素排出量を、2005(平成17年)年比で50%削減することを目標に掲げています。今回は初回ということでヨーロッパのフィンランドからタンカーで来たものを用いたものの、NESTEは2023年以降を目途に、シンガポール製油所で「SAF」燃料の商業生産を予定しており、ANAでは将来的にこちらを使用する予定とのことです。
【了】
天ぷら油から作られる軽油の代替品はあるけどあまり大きな動きになってない。