「空飛ぶ船」ジェットフォイル25年ぶり新造 回避された絶滅 次の動きは?
2020年は、船として格別な高速性能を持つジェットフォイルの25年ぶりとなる新造船がデビューしました。1隻のみとはいえ、それは大きな意味を持つ出来事でした。
「技術が継承された」がその後は…?
2020年も様々な船が新造されましたが、そのなかでとりわけ大きな意義を持ったものがあります。東海汽船が東京~伊豆諸島航路へ2020年7月に投入したジェットフォイル「セブンアイランド結(ゆい)」です。
同船は新造のジェットフォイルとしては25年ぶりです。「空飛ぶ船」とも呼ばれるジェットフォイルは、水中翼によって船体を海面から完全に浮上させて翼走する超高速船。そのスピードは80km/h(43ノット)以上と、船としては格別の高速性能を有します。小回りも効き、災害時の迅速な避難も可能であることから、主に離島の足として重宝されてきました。
ジェットフォイルはもともと、ボーイングが航空機技術を駆使して開発したもので、川崎重工がその製造および販売権を引き継ぎ、1995(平成7)年までに15隻を建造しました。近年はその置き換えが課題となっていたものの、特殊な船であるため、数を集めて建造しなければコストが高くなります。そのため新造が進まないうちに、川崎重工内でも当時を知る人が少なくなっていました。
東海汽船の新造船でも活用された、建造費の支援制度「共有建造制度」を持つJRTT鉄道・運輸機構(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)は、今回の新造について「技術が継承された意義は大きい」と話します。その建造費は51億円でしたが、今回はジェットフォイルの有用性を認めた東京都が、建造費の45%を支援したからこそ実現にこぎつけたと振り返ります。
しかし12月現在で、2隻目、3隻目という動きには至っていないといいます。
セブンアイランド結の就航後、新潟の佐渡汽船がジェットフォイルの新造を計画していることを明らかにしましたが、新型コロナの影響もあり、共有建造制度の契約も遅れているようです。
【了】
運航中に鯨?が寄ってこないことを祈ります。