英軍戦車にゾッコンのあまりそっくりに 幻のイタリアン砂漠用戦車「サハリアーノ」とは

第2次世界大戦中、新戦車を模索していたイタリア軍は、砂漠における戦いで、敵であるイギリス軍の戦車に目をつけます。いつしかその開発はイギリス戦車を参考にするあまり、ソックリなものに。その経緯と顛末を追ってみました。

まさしく「名が体を表す」形のモノが誕生

 イギリス軍の巡航戦車の影響を受け「サハリアーノ」、日本語に訳すと「サハラの(戦車)」と名付けられた試作の快速中戦車は、M13/40型中戦車の改良発展型として位置付けられます。当時開発中だったM14/41型の足まわりを流用する形で、傾斜装甲の車体と低いシルエットの砲塔デザインの木製モックアップを組み合わせて、1941(昭和16)年6月に最初の外観デザインが完成、さっそく検討に入ります。

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木製モックアップの傾斜装甲の車体と砲塔を搭載した、初期に試作検討された快速中戦車。懸架装置はリーフスプリング式サスペンションと転輪ボギーを組み合わせた従来の方式であった(吉川和篤所蔵)。

 しかし、ちょうど同じ頃イタリア軍は、北アフリカ・リビアの都市トブルクでイギリス軍と激戦を展開していました(イギリス軍名称「バトルアクス作戦」)。この戦いで、イタリア軍はイギリスの新型巡航戦車Mk.IV「クルセイダー」(A15シリーズ)に遭遇、衝撃を受けます。

「クルセイダー」は、車体を大型化して重量が20t級となりながらも、車高を低く押さえて最高速度も43km/hを保ち、先の巡航戦車Mk.III型(A13シリーズ)と同様にクリスティー式サスペンションを採用していました。

 このサスペンション方式は、第2次世界大戦の前、1936(昭和11)年に勃発したスペイン市民戦争(スペイン内戦)で用いられたソ連製BT-5型戦車にも使われていたサスペンション構造で、イタリア義勇軍もスペイン市民戦争に派遣されていたため、イタリアにとっても馴染みのある懸架装置でした。そこで鹵獲(ろかく)した巡航戦車「クルセイダー」を研究することで、足回りを一新した新車輌を作ります

【写真】「こんなの欲しい!」イタリア軍に衝撃与えたイギリス戦車

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