ソリに飛行機エンジン載せたら割と使えた? ロシアが生んだ「アエロサン」 WW2では兵器に

南極観測や冬季積雪時など、自動車が走れない雪上を動き回れるのが雪上車やスノーモービルの特徴です。これらはゴムでできた幅広キャタピラで雪上を走りますが、それとは違い、プロペラ推進で雪上を高速移動する乗りものがあります。

雪原を高速で駆けるプロペラ推進のソリ

 自動車や雪上車が実用化される前から、積雪地における移動手段として多用されたもののひとつにソリ(橇)があります。ソリは犬や馬、トナカイ、時には人が引きますが、ソリ自体に動力を付ければ、より速く自在に動けるようになるかも。そのような発想で生まれたのが「アエロサン」です。

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軍用アエロサンとして開発されたNKL-26。前面は10mm厚の装甲板で、2人乗り。写真はフィンランド軍が鹵獲再使用しているもの(画像:SA-kuva)。

「アエロサン」とは、ロシア語で空気を意味する「アエロ」と、ソリを意味する「サン(サニ)」が合体してできた言葉で、直訳すれば空気ソリとなります。これは後部に搭載したプロペラを回して雪上を進むところから、そう名付けられたとのことで、英語では「スノープレーン」とも呼ぶようです。

 まさに雪上を疾走する飛行機といった感の強いアエロサンですが、誕生したのは偶然でした。1903(明治36)年、ロシアの技術者セルゲイ・ネジダノフスキーが、たまたま航空機用エンジンをテストするなかで、それをソリに載せたことが発端です。彼はこれでアエロサンの特許まで取っています。

 構造は、簡単にいえば、ソリの上にプロペラ付きのエンジンを搭載し、燃料タンクを載せただけの大変シンプルなものですが、雪中の移動手段としては優れていたため、安価に製造できることもあり、ロシアでは広く普及しました。

 特に20世紀初頭は、雪上車はもちろん、自動車もまだまだ普及しておらず、なおかつ性能も低かったため、雪上や氷上の移動手段としては動物が引くソリぐらいしかない状況でした。そのなかでアエロサンは機械式で信頼性もそこそこ高く、なおかつスピードも速かったことから、シベリアなどの積雪地では冬季の移動や輸送のための手段として重用されます。またロシアの都市部では冬場のレクリエーションの乗りものとしても用いられたといいます。

 こうしてロシアではアエロサンが普及・発展を遂げたことから、兵器に転用されたのは、自然なことだったのかもしれません。第1次世界大戦で早くもアエロサンは、バルト海に近い北部戦域において、偵察や伝令、小規模な強襲作戦などに使われています。

【写真】極地探検に使用されるアエロサン

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