「ジャンボの兄弟」と呼ばれた3発機「DC-10」はどんな機体? 隠れた工夫や新技術 その航跡
ハイテク版「DC-10」デビューも…その顛末
1980年代に入ると、旅客機のコクピットに革命が起こります。それまでの旅客機は、パイロット2人のほか、航空機関士も搭乗し、3人体制でフライトするのが一般的でしたが、テクノロジーの進化で、パイロットのみでエンジンの制御も可能になり、航空機関士を必要としない、2人乗務が可能なモデルが登場します。
この2人体制での乗務が可能なジェット旅客機に対応すべく、同じマクドネル・ダグラス社が開発した軍用機輸送「C-17」の技術を盛り込み、操縦システムをグラスコクピット化しのが、MD-11です。ほかにも、キャパシティ向上のために胴体延長が図られ、主翼の翼端渦を軽減して燃費効率を上げるための、現代の旅客機でもトレンドになりつつある、主翼両先端に立ち上がった「ウイングレット」を導入しています。
JALでは、MD-11を「J-BIRD」と名付けて10機購入し路線に投入。DC-10との外観上の最大の特徴であるウイングレットに、日本の稀鳥のイラストを施します。
ただ、MD-11が導入された時期には、双発機の飛行制限も緩和されたことで、洋上路線でも双発機が優勢に。モデル自体の売れ行きも好調とはいえず、同社がボーイングと合併する一因を作ってしまった、悲運の旅客機となってしまいました。
ただ、これらの3発機は貨物航空会社では2021年現在も重用されており、アメリカのFedExのMD-11が日本に飛来してくることも、いまだに珍しくありません。ちなみに同社の要求から、DC-10にMD-11のシステムをレトロフィットするという、MD-10という機体もあります。
【了】
ボーイングと合併する以前にDC-10開発当時のダグラス社もマクダネル社と合併するくらいには資金繰りに苦しんでましたね
3発としたのは、当時の米国の航空規定で、
双発機は最低気象条件に大きな制限を受けていたためです。
また、「当時の双発機が洋上飛行するには60分以内に云々」お書きですが、
60分ルールは、ルートが洋上かどうかは関係ないです。