たこ飯の「蓋」大ヒット 捨てるに捨てられない駅弁容器の超活用術 釜めしの釜の万能さ

捨てられない駅弁容器キング? 「峠の釜めし」釜の使い道

 かつて簡素な包装が多かった駅弁に「容器を持ち帰って使う」という概念を持ち込んだのは、信越本線 横川駅(群馬県安中市)の駅弁「峠の釜めし」ではないでしょうか。手に馴染む感触の益子焼の土釜は、食べ終わった後も「持ち帰った容器を活用できれば、旅の思い出になるのでは」という製造元である荻野屋の創業者・高見澤みねじ氏のささやかな願いもあったそうです。

「峠の釜めし」は製造の段階から土釜にお米と水を入れて炊飯しているため、持ち帰った容器でちょうど1合(300~350g、お茶碗2杯分程度)のご飯を炊くことが可能です。荻野屋のホームページに簡単なお米の炊き方が掲載されているため、拍子抜けするほどあっさり、冷めても美味しい白飯が炊き上がります。

 慣れれば炊飯時のちょっとした工夫で、硬さや柔らかさを調整したり、底面におこげを付けたりできるほか、茶めしや炊き込みご飯なども思いのまま。ステイホームで家にいる時間が多い今、「はじめチョロチョロ、中パッパ」の音に耳を傾け、「釜めし炊飯」を楽しむのもいいかもしれません。もちろん、アウトドアのお供にも最適です。

 また峠の釜めしの容器は、「アクアパッツァ」「アヒージョ」などシングルサイズのメインディッシュ作りも最適で、荻野屋ウェブサイトにさまざまなアイデアが掲載されています。筆者(宮武和多哉:旅行・乗り物ライター)が実際に作ったもののなかでは、釜の深さを生かして中サイズの玉ねぎを丸々入れる「まるごとオニオングラタンスープ」や、野菜と豚肉を敷き詰めた「ミルフィーユ鍋」、予熱でふっくら焼き上がる「カンパーニュ風パン」などがお勧めです。

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「峠の釜めし」の釜を複数回、火にかけると、底の薄い部分から壊れやすくなっていく。左から2回、5回、9回加熱したもの(宮武和多哉撮影)。

 ただし、この容器は植木鉢に転用しやすいよう底面を薄くして穴を開けやすくしているため、炊飯に複数回使用すると、どうしても底面の割れが生じます。使用前後の乾燥や「目止め」(米のとぎ汁を沸騰させ水漏れを防ぐ)など、通常の土釜と同じようなメンテナンスを行ったほうが長く使えるようです。

 また植木鉢のほか、音の伝導性を生かしてスピーカーに改造するケースなど、料理以外に釜を使う人もいます。

【写真】「ひっぱりだこ飯」の壺、「峠の釜めし」の釜でアレンジメニューあれこれ

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