「ほぼ垂直に突き刺さる橋」なぜできた? そそり立ち度MAXの可動橋 鉄道ないのに踏切も
高知県香南市の手結港可動橋は、約30mの高さまで道路がほぼ垂直に立ち上がり、下の水路に船舶を通す構造になっています。とはいえ、橋を渡れるのは1日わずか7時間ほど。そのような可動橋は、なぜ建設されたのでしょうか。
山崎賢人さんの「なんだこりゃぁぁぁぁ!」で有名に
「垂直に突き刺さる橋」、そのような呼び名でテレビCMに登場し、話題となった橋が高知県にあります。
架かっているのは、高知平野のほぼ東端にある「手結(てい)漁港」(高知県香南市夜須)の入口。全長は約32m、歩いても1分とかからず渡れる小さな橋です。ただ下を船が往来するため可動橋となっていて、1日のうち数回は、道路・歩道が橋桁ごとゆっくり跳ね上がっていきます。ほぼ垂直に、港へ突き刺さるようにそそり立つ「アスファルトの壁」の迫力たるや、圧巻のひと言に尽きます。
この「手結港可動橋」が建設されたのは2002(平成14)年のこと。橋桁が跳ね上がる跳開橋(ちょうかいきょう)は全国にいくつかありますが、この橋は短いこともあって、橋桁の一方だけが跳ね上がる「片側跳開橋」という方式を採用しています。このため跳ね上がると、道路がアスファルトの壁となって正面の景色をふさぐ一方、向こう岸から見ると、さっき目の前にあった橋が忽然と消えるなど、どちらから見ても数分で目の前の景色を激変させるのです。
場所的には国道や香南市の中心街から離れており、「知る人ぞ知る」存在だったこの橋ですが、2016年に放映されたダイハツの軽自動車「キャスト アクティバ」のCMに登場し、俳優・山崎賢人さんの「なんだこりゃぁぁぁぁ!」という叫び声とともに全国へ知られるようになりました。
さらに特徴的なのが、橋の両端に設置された「踏切」です。開閉の数分前からカン・カン・カン……と警告音を鳴らして車の通行を遮断します。遮断棒などの仕様は一般的な鉄道の踏切と変わらないものの、「一時停止」と表示されている看板の表示が「可動橋注意」となっているなど、ここならではの要素もあります。
ちなみに可動橋の1kmほど北側を通過する土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線(阿佐線)は、高架とトンネルで構成されており、この可動橋の「踏切」は、周辺(香南市夜須町)では唯一の存在。取材時は自動車学校の教習車が訪れ、教官が生徒に土佐弁で「まあ知らんことはないろうけんど、これが『踏切』やきね」と、一時停止の仕組みなどを教えていました。
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