「ほぼ垂直に突き刺さる橋」なぜできた? そそり立ち度MAXの可動橋 鉄道ないのに踏切も

高知県香南市の手結港可動橋は、約30mの高さまで道路がほぼ垂直に立ち上がり、下の水路に船舶を通す構造になっています。とはいえ、橋を渡れるのは1日わずか7時間ほど。そのような可動橋は、なぜ建設されたのでしょうか。

渡れるのは1日7時間だけ なぜ造られたのか

 この橋、開閉が行われるのは6時30分から18時までのあいだで、漁船の出入りが多い深夜・早朝は開いたままとなっているため、車が通れるのは日中のわずか7時間ほどです。それでもなぜ、橋はこの地で必要とされたのでしょうか。

 山脈が海の手前まで迫る手結港の周辺は、横に長い高知平野の東の端でもあります。もともと天然の入江がないうえに、西側から流れて来た漂砂が堆積するため、大規模な築港にはかなり不向きな場所でしたが、周囲に大きな港がなかったともあり、土木工事の名手として知られる土佐藩家老・野中兼山の指揮のもと、1655(明暦元)年頃に現在の「内港」が完成しました。

 これは「日本初の堀込港(陸地を掘り込んで作った港)」ともいわれ、現在でも当時の港には数十隻の漁船が停泊しています。しかし港の外周の道路があまりに狭く、いまも軽トラック1台のすれ違いすら難儀するほどで、沿道には「無断駐車・駐船禁止区域」の看板が立っています。また、背後にそびえる山の斜面もびっしり住宅が密集しているように、この道路以外に平地がなく、道路拡張は望めませんでした。

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可動橋の下は2mの高さ制限。小型漁船でも通過が難しい(宮武和多哉撮影)。

 一方で、漁船が大型化していくにつれ、その停泊設備として内港の南東に大規模な外港のほか、卸売市場なども次々と建設されました。「最新の設備が集積する南東側」と「市街地や国道の入り口がある北西側」を結ぶため、内港の入り口への架橋が必要でしたが、現行道路の拡張や大規模な架橋は土地がなく不可能。これら課題を解決するためにコンパクトな可動橋が建設され、漁船の出入りも確保されたのです。

 なお手結港は、高知県民が熱烈に愛するといわれる「どろめ」(カタクチイワシの稚魚。「ぬた」とよばれる葉にんにくの味噌だれをかけて生食する)の水揚げ港としても有名です。可動橋を渡れる短い時間のあいだに、生だと1日も持たない「どろめ」などの海産物を積んだトラックが港の卸売市場から街の中心部へ集中的に行き交います。橋を渡れなかった場合は、内港周辺の狭隘な道を慎重に通るか、南側にある「手結岬」周辺への遠回りを余儀なくされるそうです。

【地図/ギャラリー】手結港可動橋の位置/跳ね上げの一部始終を間近で!

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