ハデさには欠けるかもしれない多用途ヘリUH-1Jが陸自のヘリで最も多く配備されるワケ

「大は小を兼ねる」が通用しない現場で光るUH-1J

「そこそこの性能」と前述したUH-1Jですが、潜在的な実力はキラリと光るものがあります。

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離島防衛(訓練)のため水陸機動団の隊員たちを運ぶUH-1J(武若雅哉撮影)。

 操縦において一部の機能が自動化されているUH-60JAと比較すると、全てが手動のUH-1Jは、その機動においてパイロットの技量に左右される要素が多く、一部ではUH-60JAを上回る操縦が可能であるともいわれています。そのせいか、全手動のUH-1Jを操縦したいというパイロットも数多くいるそうです。

 さらにUH-1Jは、そのコンパクトさも強みになっています。

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大量の物資や人員を一度に輸送することができる大型輸送ヘリコプターCH-47JA(手前)とCH--47J(奥)(武若雅哉撮影)。

 災害派遣時に物資を輸送するためCH-47J/JAを着陸させようとした場合、着陸する場所には約100m四方の、サッカー場くらいのスペースが必要になります。あわせて、大きなローターから吹き下ろされる強烈な風(ダウンウォッシュ)で周辺にあるものが飛散しないように処置する必要もあります。

 その点、UH-1Jは約30m四方のスペースがあれば着陸することができます。UH-60JAも同じくらいのスペースがあれば着陸できますが、配備されている駐屯地は千葉県にある木更津駐屯地を筆頭に全国で6か所と少なく、目的地が遠く迅速に現場進出のできないケースも見られます。一方でUH-1Jは全国の師団飛行隊にあまねく配備されているため、ほぼ全国をカバーしています。この「全国をカバーしている」ということは、いざという時、すぐに現場に駆け付けられることを意味します。

 こうしたUH-1Jの特徴は、任務にも大いに生かされています。その事例のひとつが「令和元年台風19号災害派遣」にて見られました。

【写真】救援物資を運べ! 災害派遣 UH-1Jを使った緊迫の現場の様子 ほか

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