2021年春廃止/開業の高速バスまとめ 消える名物夜行バス 新規路線にあるトレンド
高速バスの次なるトレンドは「密なし通勤」「近くへ快適に」?
「地方から大都市への足」「観光地への足」など、高速バスがこれまでの成功事例に頼ることが難しくなる中、「近距離」「主要鉄道駅を経由しない」「通勤時間でリモートワーク」など、新たな需要に路線に活路を見出す事例が増えています。
●神姫バス
・開業:姫路市内~三宮・神戸空港線「快適特急 らっきゃライナー」 ※実証実験
・増便:三田~大阪線(阪神バスが共同運行に参入)
JR神戸線の新快速で約40分の姫路~三宮間、一見すると高速バスが参入する隙間はないかに見えます。しかし「らっきゃライナー」がカバーするのは姫路市北部の田寺・横関・大寿台など、渋滞などによって姫路駅へのアクセスに時間がかかる地域ばかり。市の中心部である姫路駅・姫路城近辺を経由せず三宮方面を目指す新路線です。
神姫バスはほかにも今回のダイヤ改正で、兵庫県三田市郊外の「ウッディタウン」から三田駅に寄らず大阪市内へ向かう路線の大幅増便、終バス繰り下げなど、思い切った施策を行っています。姫路と三田はともに「市のJRの中心駅から乗っても座れない」(手前側の駅から混雑している)ことで知られ、鉄道と違って「座れる」という利点を発揮しているといえるでしょう。
また、こうした通勤目的のバスでは、東急バスが2021年2月から4月の平日に実証実験として運行している「Satellite Biz Liner」(たまプラーザ駅~東京駅)も特徴的です。「シェアオフィスバス」とのキャッチフレーズでリモートワークの環境を整え、東急田園都市線ユーザーへ新しい通勤スタイルを提案しています。
●京成バス・小湊鉄道
・開業:松戸駅~三井アウトレットパーク木更津線
京成バスと小湊鉄道も3月16日から、「近場の買い物」に主眼を置いた新路線を開設。松戸に近い外環道を活用したもので、松戸駅と三井アウトレットパーク木更津をノンストップ、最短75分で結びます。高速バスのトランクルームにベビーカーや大きな荷物も預けられ、ショッピングの役に立ちそうです。
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このほか、路線の統合や延伸も行われます。東急バスはフジエクスプレスと共同(富士急湘南バスから変更)で4月1日から、日吉・たまプラーザ~御殿場プレミアム・アウトレット線を、山中湖や富士急ハイランド・河口湖まで延伸します。日吉方面~河口湖方面の直行便と、御殿場プレミアム・アウトレットパーク線を統合する形です。
また山梨交通と京急バスも4月16日から、これまで別々に運行していた竜王・甲府~羽田空港線と、竜王・甲府~横浜駅線(特定日のみ運行)を統合し、横浜駅経由の羽田空港線として装いを新たにします。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
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