旅客機にトサカやヒゲ? 滑らかな機体になぜ突起物がたくさんあるのか 実は孔も多数
アンテナだらけの旅客機、なぜ?
旅客機のコクピットには、自動車などと同じようにワイパーが装備されているのが一般的です。ただ、雨が降ったシーンで離着陸するとき以外、使用頻度は低めといえるでしょう。これは、旅客機が巡航する速度帯では、雨が降っても、表面をそのまま流れてしまうことが多いためです。
また、一部のモデルでは、窓枠の下方に孔の開いた短い棒が出っ張っていますが、これはワイパー用の洗浄液の噴出口です。かつて航空機メーカー側は不要と考えていたようですが、ボーイング777から始まった新型機開発に航空会社も参画し意見を反映する「ワーキング・トゥギャザー」で航空会社側からのオーダーがあり、取り付けたとか。
現在の多くの旅客機では、胴体の中央部分に目を移すと、後方に傾いた板が張り付けられていますが、これはVHF無線通信用のアンテナです。ちなみに、ジェット旅客機に取り付けられている無線用アンテナには大型のものもあり、中古のものでも機能があまり低下するわけではないので、エアバンド(航空無線)ファンが自宅で航空無線を聞くためにゲットすることもあるとか。
同じ無線用アンテナでも、HF無線通信用のものもあります。ボーイング747初期型(747-100から-300まで)の主翼には、端から後方へ針のように伸びていました。それ以後のモデルでは、垂直尾翼の前縁などに平面的に組み込まれていることが多いようです。
ちなみに旅客機(に限らず航空機)には、多過ぎると思われるほどの種類のアンテナがついています。これは上空という環境が要因のひとつです。
自動車などでは、自分より上から電波が降ってくるので、屋根にアンテナがあれば受信可能です。一方空中にある航空機の場合、たとえば北からの電波が、機体に隠れて南側のアンテナで受信できなくなるなど、死角が生じます。このため、死角が生じないように冗長性をもたせてあげる必要があるのです。
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