旅客機にトサカやヒゲ? 滑らかな機体になぜ突起物がたくさんあるのか 実は孔も多数

実はエンジン部分にも突起が! 突起じゃないけど「穴」にも理由あり

 胴体上面に出っ張った小さなコブのようなものもあります。これは衛星通信用アンテナで、自動車のカーナビと同様、地球上の位置情報をいくつかの衛星から取り込む役割をもちます。このほか、機内仕様によっては、もっと大きなコブがついている旅客機もありますが、これは「機内でWi-Fi」を使うための通信設備です。

 このほか、機窓からエンジンを見ると、各エンジン前部の内側(胴体側)に、板が取り付けられているモデルもあります。これは「ナセル・ストレイク」と呼ばれ、離陸時など機体の機首が上がった時に、エンジンから主翼に流れる空気を制御するためのものです。

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ANAのボーイング777のAPU排気口(乗りものニュース編集部撮影)。

 現在のジェット旅客機で主流の「ターボファン・エンジン」は、効率を上げる(バイパス比を高める)ため当初よりエンジン直径が大きくなっています。このことから、地上でエンジンが地面を擦ってしまわないよう、下面に十分なスペース(クリアランス)を得るために、主翼とエンジンの距離を近づける傾向にあります。このため主翼との空力的な干渉が懸念されますが、これを補正するため、「ナセル・ストレイク」を取り付けることが多いのです。モデルによっては、これが外側についているものもあります。

 ちなみに旅客機には、出っ張りだけではなく穴も開いています。たとえば、胴体下面の主脚付近にある外気採り入れ用の穴や、主エンジン停止時などに使用する発電用エンジン「APU(補助動力装置)」の排気口として「お尻に穴」が開いているのが代表的です。なお、このAPUの排気口、通常は真後ろに開いているのですが、ボーイング777は片側に偏っているなど、旅客機のモデルを見分けるのにも役立ちます。

【了】

※一部修正しました(4月18日9時59分)。

一気に見る! 飛行機の突起物や穴の名称

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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