これも「スバル車」!? 世界唯一 スバルの水平対向エンジン搭載の「大砲」 一体どう使うのか

オリジナルはフォルクスワーゲン製エンジンを搭載

 そもそも155mmりゅう弾砲FH70は、1960年代後半から1970年代前半にかけて、イギリス、ドイツ、イタリアの3か国が共同開発したヨーロッパ製兵器です。

 このときに牽引砲ながら、補助動力装置としてガソリンエンジンを搭載することが決まり、原型ではフォルクスワーゲン製の排気量1800cc水平対向エンジンを搭載していました。ちなみに、このエンジンはポルシェとフォルクスワーゲンが共同開発したものでした。

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自走状態の155mmりゅう弾砲FH70。右手前に着座した状態で操作しているのが操縦手(柘植優介撮影)。

 ヨーロッパでは3か国が分担する形で1978(昭和53)年から量産されましたが、日本ではライセンス生産するにあたってフォルクスワーゲン製エンジンの部分を富士重工(現・スバル)が担当したことで、異例のスバル製水平対向エンジンを搭載した大砲ができあがったのです。

 このエンジンを駆動させることで、155mmりゅう弾砲FH70は重量9.1tあるものの、短距離であれば最高速度16km/hで自走することが可能です。

 とはいえ、ハンドルなどなくレバー操作であるほか、変速はマニュアルミッション、また右左折はフォークリフトのように後輪操舵で行うため、運転にはある程度の演練が必要なようです。

 155mm榴弾砲FH70も陸上自衛隊に配備が始まって、すでに約40年が経とうとしています。性能的にも旧式化しつつあるため、後継となる「19式装輪自走155mmりゅう弾砲」が登場しており、近々更新が始まります。

 陸上自衛隊装備としてはレアな、スバル製水平対向エンジンを搭載した大砲。「スバリスト」なら、いまのうちに見ておいて損はないかもしれません。

【了】

【写真】踏み付け禁止! スバル製水平対向エンジンの収納部

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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3件のコメント

  1. 更新するならウクライナに送ってあげてくれないかなあ。

  2. フォルクスワーゲン製の排気量1800cc水平対向エンジンを搭載
    スバルはライセンス生産してるだけかよ…

  3. 水平対向1800㏄エンジンって、当時富士重工内製で用意できたはずなのになぜにライセンス生産したのでしょうかね。富士重工のエンジンでは要求性能を満たせなかったんですかね?