燃料タンクで敵の弾を防ぐ…? 戦車や装甲車でそれが有効である納得の理由!
どのような兵器であれ「燃料タンク」といえば弱点のひとつといえそうですが、一部の戦車や装甲車では、これを防弾に活用しているといいます。冗談のようなお話ですが、フタを開けてみれば、そこには納得の理由がありました。
燃料タンクの中身は「液体」 これが理由!
「燃料タンク」といえば、戦車の弱点に思えるかもしれません。なるべく敵の弾が当たらないような場所に配置して、ガッチリと守っていそうなイメージです。ところが逆に、燃料タンクを防弾に使おうという突拍子もないアイデアがありました。しかもこのトンデモアイデアは採用され、2021年現在のいまでも使われているのです。
実際に採用している例が、イスラエルの主力戦車「メルカバ」やソ連/ロシアの歩兵戦闘車「BMP-1」です。ともに現在も配備されており、実戦に使われている車両です。
メルカバ戦車は、最も敵弾が当たりやすい所である車体前面装甲のすぐ後ろに燃料タンクが配置されています。エンジンも前方に配置するという珍しい設計の戦車ですが、このエンジンの前に燃料タンクが置かれているのです。
BMP-1は戦車ではなく、歩兵を乗せ、戦車や歩兵の戦闘を支援する歩兵戦闘車に分類される装甲車で、その後部兵員室ドアに燃料タンクが付いています。
弱点であるはずの燃料タンクを、わざわざ敵弾に当たりやすい防弾に使おうというとんでもないアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか。
戦車の装甲板と、それを貫こうという対戦車火器とのシーソーゲームは、戦車誕生以来繰り返されてきており、そして戦車の防御方法には様々なアイデアが生まれました。その研究のなかで、防弾には異なる素材を組み合わせた装甲が有効であることがわかっています。これを「複合装甲」といい、主流は鋼鈑とセラミック素材などを組み合わせたもので、このほか装甲板を二重にしてあいだに空間を設けたり、液体にも複合装甲の材料としての効果が認められたりしています。
イスラエルの「メルカバ」戦車の開発者によれば、対HEAT弾(成形炸薬弾。モンロー/ノイマン効果という爆発反応を応用して装甲貫通力を高めた対戦車砲弾)の防御において、70mmの燃料層は10mm厚の鋼板に相当するとされています。メルカバには前後長最大305mmの燃料タンクが前部装甲の背後に配置されているため、具体的にその車体前面構造は、装甲厚107.5mm防弾鋼鈑+357mmの空間+43.5mm相当の燃料層となっています。こうした複層にすることで、単純に防弾鋼鈑を厚くするよりも軽量化することができます。
へー、M1エイブラムスってディーゼルエンジンにしたんかぁ(遠い目)
M1と同世代の旧ソ連のT80系もガスタービン。まだ現役の国もたくさん
M1は軽油も使えなくはないらしいけど普通ガスタービンはジェット燃料(ほぼ灯油)
灯油がガソリンよりは引火の危険がマシのは同じではあるけど。