エアバスよくぞ復元した! 80年の時を超えた「大西洋の疫病神」Fw200 日本にもゆかり

エアバスが80年の時を経て復元したドイツ産のフォッケ・ウルフFw200「コンドル」。この飛行機はどのようなものだったのでしょうか。ハイスペックゆえの記録、日本との関わりなどを見ていきます。

日本と関わり 軍用への転身の顛末

 先述のドイツから日本へのフォッケ・ウルフFw200のフライト、実は日本への売り込み飛行でした。

 このころ、旧日本海軍が大型爆撃機としてドイツ・ユンカース社のJu90四発機を購入する予定でした。このとき現地に三菱重工が派遣されたものの、契約が成立せず、Fw200に機種を変更し、その一環としてこのフライトが実現したそうです。

 旧日本軍では、国内で大型の飛行機開発の経験が不足していたことから、Fw200を5機購入。ライセンス生産を念頭に置いていたとも思われますが、これは実現していません。実際に、試作10号機であるFw200V10は、哨戒爆撃機として旧日本海軍が購入契約していたものの、欧州の戦局などから日本へ到着することはありませんでした。もし実現すれば、「零式哨戒機」とでもなっていたのかもしれません。

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第2次世界大戦前にデンマーク航空(DDL)で使用されていたFw200(画像:スカンジナビア航空/SAS)。

 本来旅客機としてデビューしたFw200は、その後、欧州大戦のさなか、航続力と搭載量を買われて哨戒爆撃機としてドイツ空軍に採用されました。当時ドイツが注力していたアメリカとイギリスの大西洋における海運を遮断する作戦に使用するためです。欧州戦役の勃発にともない、1939(昭和14)年末から北海のイギリス艦隊攻撃に使用され、その後は商船への直接攻撃にも参加します。ドイツ海軍Uボートによるウルフパックの眼としてその能力を活かし、「大西洋の疫病神」と呼ばれたそうです。

 ただ本来、旅客機として開発された機体であるため、耐弾装備はないうえ、被弾回避運動に対する強度も持ち合わせておらず、胴体が折れた事例もあったそうです。そのため、結局は輸送任務に戻されてしまいました。発展型として、準軍用型の「Fw300」や、設計者の名前クルト・タンクを呼称として採用し、エンジンを6基に増やした派生系「Ta400」も計画されましたが、実現には至りませんでした。

 ハナシを冒頭に戻すと、今回エアバスから発表された機体は、1999(平成11)年にノルウェーのトロンデン・フィヨルドの淡水中で発見されたもの。修復作業は2003(平成15)年から開始され、やっとエアバス社のブレーメン工場で完成したものです。なんとなく、鼻先のカタチが、エアバスの最新鋭機「A350」にも似ている気がします。

【了】

【驚きの復元力!】ボロっボロの状態から蘇った「Fw200」写真で追う経緯

Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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