京急「歌う電車」なぜ生まれた? 最近は歌わないどころか「静かな電車」ばかりのワケ

発進時に音階を奏でる京急の「歌う電車」が、2021年夏に機器更新で「歌わなく」なります。そもそもこの「歌声」の正体は何だったのでしょうか。また、電車のモーター音が最近静かなのは、一体なぜなのでしょうか。

歌う電車は消滅へ、インバーター音も静かに

 さて、この「歌う電車」を採用した日本の鉄道車両は京急2100形・新1000形電車の計19本、JRのE501系電車の8本だけにとどまり、これらの車両も、機器更新で「歌わないインバーター」に交換されていきます。

 その理由は、ドイツ製ということで機器の調達が難しいなどの理由もありますが、大きな背景は、GTOサイリスタに変わる新たな半導体素子「IGBT(インシュレーテッド・ゲートバイポーラトランジスタ)」の登場です。

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全国に先駆けていち早く次世代VVVFインバータ制御技術を導入した営団06系電車(画像:東京メトロ)。

 IGBTはGTOサイリスタに比べさらに安定性があり省エネで、特に「磁励音」を人間の耳に聞こえる周波数帯より高くできるのがメリットです。

 これにより、電車の加速時の音は大きく静音化。シンセサイザーのような音から、「キーーン」といった超音波に近い音、「シュワワ…」「ホワワ…」といった耳に優しい音になっていきました。

 IGBTは2000(平成12)年に本格デビューしたJRのE231系電車をはじめ、電車のモーター制御の主流となっていきました。ちなみに国内初のIGBT導入車は営団(現・東京メトロ)06系で、1992(平成4)年製造ながらすでに次世代の音を奏でていたのです。

 さらに2015(平成27)年には山手線の新型車両としてE235系電車が登場。SiC(炭化ケイ素)を用いた、IGBTとは異なる素子でさらに効率的なVVVFインバータ制御を行っています。その後N700S系新幹線をはじめ、さまざまな新型電車で、このSiC素子が導入されています。そして加速時の音も、IGBTと比較してさらに静音化が進みました。

* * *

 さて、三菱電機は2021年6月、鉄道車両では世界初となる「同期リラクタンスモーター」の性能試験に成功。モーター内に永久磁石が不要となり、さらなる軽量化ひいては省エネ化が期待されます。この最新の「同期リラクタンスモーター」と最新のインバーターは、電車から一体どんな音を奏でてくれるのしょうか。

【了】

※一部修正しました(6月30日9時50分)。

【VVVFインバーターを搭載した通勤電車たち】

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