なぜ残る? 国内唯一「ドライブスルー公衆電話」使ってみた バブル期の夢「車内から電話」
日本で唯一、クルマに乗りながら利用することを想定した公衆電話が愛知県に残っています。全国から消えていったものですが、ここは近年リニューアルもされました。背景には何があるのでしょうか。
「知る人ぞ知る自動車の町」で32年の歴史
1980年代、自動車電話はステイタスでした。リアトランクの端に黒い専用アンテナを立て、センターコンソールボックスに電話機を忍ばせることができたのは役員専用車ぐらい。警察などの緊急車両ですら無線が主役、庶民にとって“車内から電話をする”ことなど夢の時代でした。
それを公衆電話で実現し、今なお現役で活躍する日本で唯一の“自動車公衆電話”とも言うべきものが、愛知県日進市に残っています。
人口およそ9万2000人、名古屋市の東に隣接する日進市は、知る人ぞ知るトヨタの町です。市内でいちばんの高層ビルは、名鉄豊田線 米野木駅前に建つトヨタ社員寮。この記事で紹介する場所のすぐ近くには同社の日進研修センターもあり、広いグランドが整備されています。同市の東隣がトヨタ本社のある豊田市。そんなクルマの町だからこそ国内唯一の“自動車公衆電話”は誕生したのでしょうか。なんともユニークなここだけにしかない電話を体験してみましょう。
その電話は県道58号線の沿線(日進市蟹甲町)、セットバックした電話交換所の建物のすぐ前にあります。32年前の1989(平成元)12月に設置されたものの老朽化し、周辺では「廃止を待っているのではないかと思った」人もいたようですが、2019年6月、NTT西日本名古屋支社(現・東海支社)は、全面改装に着手。走っている車両も一目瞭然でわかる電話マークにINのピクトグラムを設置し、電話機の上には路上から見てもわかる「ドライブスルー公衆電話」の看板で大々的に存在をアピールすることになりました。
「この時、2レーン2台あった電話機を1レーン1台に。安全性と利便性を考えたゆとりあるスペースにしました」(NTT西日本東海支社 広報担当)
その狙い通り、進入方向を示す矢印の路面表示で、初めての人でもどこに車両を付けるかわかりやすく、大型車でもらくらく進入できます。
コンビニのコピー機を見ていると百円玉でも釣り銭が出るものを作れそうに思えます。
自動車公衆電話ならかつて高速バスなどにあった車載のカード式公衆電話のことを指すのですかね。