「ジャンボ」747の「コブ」はなぜ誕生? 開発当時の未来予想は大外れ… でも狙い通り?

半世紀以上続くボーイング747「ジャンボ・ジェット」シリーズの最大の特徴といえば、機体前方がコブのように出っ張った「アッパー・デッキ」です。これはどのように生まれたのでしょうか。その歴史を振り返ります。

747「開発前夜」、なにが起こったのか?

 747が開発される前の1960年代はじめごろ、アメリカ空軍は世界中に様々な貨物を空輸する機体を求めていました。空軍は、より長距離かつ高々度で、より重い荷物を運べる戦略輸送機「CX-HLS(Heavy Logistics System)」の開発を、アメリカの名門航空機メーカーであるロッキード社、ボーイング社、ダグラス社の3社に発注します。

 結果的に「CX-HLS」としてはロッキード社の案が採用されることになり、これが実用化されたのが1968(昭和43)年に初飛行したC-5「ギャラクシー」です。C-5の機内は、下から、床下スペース、そのうえにメイン貨物室、最上部は前部が操縦室、後部が乗員座席と3層構造になっています。また、メイン貨物室の貨物の積み下ろしが便利なように、機首が上に持ち上がる構造を採用しています。

 そしてC-5は、よく見ると、翼が胴体の上に配置されている以外、ボーイング747との共通点が多いと気づきます。それもそのはず、「CX-HLS」計画でボーイング社が提案したものをベースに開発されたのが、747といわれているのです。

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在日アメリカ空軍の横田基地や嘉手納基地などにもたびたび飛来するC-5「ギャラクシー」(画像:アメリカ空軍)。

 こうしてデビューした747旅客機は、先述のベース・デザインをもとに、様々な将来予測や、エアラインの要求を加味し、床下に貨物搭載スペース、胴体中央に客室、胴体上部は前部に操縦室、後部に客室の3層構造となりました。

 そして747の貨物型では、機首がそのまま上に上がるような扉「ノーズ・カーゴドア」を備えます。操縦室が最上層にあることもあって、これで長尺物を前から搭載できるようになりました。貨物機としての転用を検討していた設計が狙い通りにいった結果でしょう。

 747の開発当時考えられていた「超音速旅客機の時代」は現実とはなりませんでしたが、747の貨物型は航空会社に重用されることになります。たとえば2021年現在、747シリーズを用いている唯一の国内航空会社はNCA(日本貨物航空)となっており、同シリーズの最新型「747-8」の初期発注者(ロウンチ・カスタマー)にもなっています。

 余談ですが、この747のアッパー・デッキ、後発タイプからコブの長さが延長されるようになりました。そのきっかけは、胴体短縮で航続距離延長を図った「747SP」。アッパー・デッキの長さをほぼそのままに胴体を短くした結果、機体全体の空気抵抗が減少したことを受け、胴体上部を747SPと同じ比率となるようアッパー・デッキを延長した747-300が開発されました。これがその後、747シリーズのベストセラー・タイプとなる「747-400」につながりました。

【了】

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Writer:

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

1件のコメント

  1. 表題が「『コブ』はなぜ誕生?」なのに、その解が示されていない。

    アメリカ空軍輸送機の受注競争に負けたあと、そのときに提案した機体を民間機に応(転)用したわけだが、当初は写真のC-5同様の外観になる総2階を目指していて、しかし緊急脱出時間が満たされないがゆえ、2階部分を短縮せざるを得ず、それで「こぶ」ができた。

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