横須賀~北九州の東京九州フェリーに乗った 洋上BBQは新感覚! 船内使い倒しの21時間

21時間1.2万円~ 料金的にはアリなのか?

 2021年7月1日現在での料金を、さまざまな交通手段も含めて比較してみましょう。

●旅客利用の場合

 旅客の利用で最安値のツーリストAは1万2000円ですが、同価格帯の交通手段としては、最安値9000円という思い切ったダイナミックプライシング(価格変動)を導入した高速バス「はかた号」(現在は運休中)や、閑散期は6000~7000円で搭乗できる北九州空港発着の航空便などがあります。しかしこれらは、7・8月には価格が上昇する傾向で、8月でも繁忙期の運賃帯が適用される便が5往復・10便のみ(期間は上下で異なる)のフェリーは貴重な存在と言えるでしょう。

 個室利用の場合は、ツーリストSからデラックスまで、ルームチャージ制で6000~4万8000円が旅客運賃(ツーリストA)にプラスされます。他のフェリーでたまに見られる「1名の利用で2・3名定員の部屋貸切」には料金の壁が高く、全体的に割引施策もない状態ですが、いずれはネット予約割引なども期待したいところです。

●自動車

 東京九州フェリーは自動車を積載できる台数が30台と、他の長距離航路より少なめに設定されています。普通車(5m以下)の航送運賃は4万円(運転手1名分のツーリストA料金含む)、これにルームチャージがプラスされると安くはありませんが、乗船日は両港ともに多くの自家用車が並んでいたところからすると、台数的に狭き門かもしれません。

●バイク・輪行

 バイクは750ccで1万2000円、輪行自転車は3600円で運べ、これに旅客運賃がプラスされます。時間がある場合は、2泊3日でほぼ同区間を行くオーシャン東九フェリー(東京〈有明〉~新門司)が、バイクであれば1万円弱(燃料価格で変動あり)なので、東京九州と使い分けられるかもしれません。また受け渡し時間に制約があるものの、東九にはバイクパレットサービス(無人航送)などもあります。

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船の入港から出港までの3時間ほどで、スタッフが一気に清掃を済ませる。新門司港にて(宮武和多哉撮影)。

※ ※ ※

 就航間もない東京九州フェリーは、従業員も慣れていない様子が窺える場面もあったものの、洋上で一生懸命に仕事をしている様子が印象的でした。港で働く人々が、フェリーの着岸に関する業務をOJT(業務を行いながらの研修)で教わっている様子も見られました。よって、オペレーションの成熟は、まだまだこれからと言えそうです。

※一部修正しました(7月14日17時10分)。

【了】

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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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