豊洲市場でも活躍 走るドラム缶「ターレ」 正体はハイスペックな乗り物!?
大活躍のターレ、最初は嫌われ者だった?
日本の市場にターレが初めて導入されたのは、今から65年前の1956(昭和31)年、豊洲市場の前身である築地市場でした。それまで生鮮品の運搬には主に手押し車が使われていたため、当初ターレは市場の人々から「音がうるさい」「市場内を運転するのは危険」などの理由から敬遠されていたそうです。しかし、先述のような機動性から徐々に普及し、1990年代頃にはターレが築地市場における運搬の主力を担うようになりました。
長い活躍とともに大きく変わった部分が「燃料」です。長年、ターレの燃料にはガソリンが使われていました。しかし、生鮮食品を取り扱う築地市場では「多量の排ガスやチリが発生するのは良くないのでは」という懸念の声が上がるようになり、2000年代からは電動ターレが築地市場に導入され始めました。
電動ターレの導入当初は「充電が面倒」といった声やパワー不足、充電スタンド用のスペース確保など課題がありましたが、2018年に築地から豊洲への移転の際、充電スペースを広く確保することができたため、一挙2100台の電動ターレが導入、全電動化が実現しています。
市場の外でも活躍中
豊洲市場を走り回るターレですが、他にも公共施設などを中心に使用されています。
例えば空港では、ベビーカーやスキー板など大型の荷物の運搬を担当しているほか、駅では、新幹線から出る大量のごみを積み込み、集積所まで運ぶ際に使われています。多くの人が行き交うこれらの場所では、クルマと人との接触を防止するため、走行中にブザーやメロディが流れることが多いです。
また意外なところでは、陸上競技場の砲丸やハンマーなど重い競技道具の運搬、福祉施設での入所者の食事搬送などに使われている例もあります。
なおターレは「小型特殊自動車」に属しているため、公道を走行する際は普通免許のみで運転ができます。ただしその際は、別途バックミラーやウインカー、ナンバープレートを装着する必要があります。ちなみに、1台のお値段は150万円前後だそうです。
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上野動物園のバックヤードでも使われています。