三菱重工 フィリピン向け多目的対応船の進水式を実施 ベースは海保の新鋭巡視船
海上保安庁向け新鋭巡視船の設計が流用されています。
命名&就役は2022年5月の予定
三菱重工は2021年7月26日、フィリピン運輸省向けに建造中であった多目的対応船(Multi-Role Response Vessel:MRRV)の進水式を同社下関造船所江浦工場で行ったと発表しました。
同船はフィリピン沿岸警備隊において、荒天時の救難活動や周辺海域における巡回業務などに用いるための船で、全長約96.6m、幅約11.5m、深さ約5.2m、総トン数は約2260トンある、いわば大型の巡視船です。
乗員数は67名、最大速力は24ノット(約44.45km/h)、4000海里(約7400km)以上の航続距離能力を有するほか、排他的経済水域(EEZ)を監視する能力を持つ通信設備や、ヘリコプターの発着艦設備、遠隔操作型の無人潜水機、高速作業艇など、海洋状況の把握と海事法の執行活動に必要な装置や機器を装備しているといいます。
今後、艤装工事や試運転などを経て、2022年3月初旬にフィリピンの首都マニラへ回航され、5月に命名および引き渡しを行うとのこと。なお、2番船についても建造中で、こちらは2021年11月18日に進水式を行ったのち、2022年5月にマニラへ回航、9月に命名・引き渡される予定です。
今回の建造プロジェクトは、2016(平成28)年10月にフィリピンと日本とのあいだで締結された「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化事業(フェーズII)」に基づく円借款事業です。
ちなみに建造に際してベースとされたのは、海上保安庁のくにがみ型巡視船で、日本の造船技術の活用が期待されています。
【了】
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