世界初「電気を運ぶ船」建造へ 船を海底ケーブルの代わりに 目指すは自然エネの“爆発的普及”

移動可能なEV急速充電器って?

 蓄電池工場は100億円前後の投資規模で、2022年に建設開始、翌年のテスト生産開始を目指すといいます。船に先立ち、まずは蓄電池の製造販売で経営を軌道に乗せる構えです。

 ここでは、船に積むコンテナ型の大型船舶用電池(3000KWh)のほか、送配電系統を構築するためのグリッド用蓄電池、EV(電気自動車)の急速充電用電池(300~900KWh)なども製造するといいます。特にEV急速充電用電池は、街なかで一般消費者が直接的に使うようになるかもしれません。

 この電池は自動車ほどの大きさで、それ自体が充電機器になり、傍らでEVを充電できるといいます。「電池なので『持ってきて置くだけ』ですから工事も要りません。コンビニやスーパーなど、ふだん消費者として訪れるところで、買い物をしている10分のあいだに急速充電ができます」(伊藤社長)とのこと。

 これら蓄電池は全てクラウド上で稼働状況や残電量などを一括管理でき、「移動できる充電ネットワーク」を構築するといいます。

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EV急速充電用電池のイメージ(画像:PowerX)。

「需要がある場所へ蓄電池(=EV充電器)を移設できるわけです。たとえばお盆の帰省ラッシュには、高速道路のSA・PAに40台くらい設置するなど、据え置き型の急速充電器には難しい急な需要にも対応できます」(伊藤社長)

 なお、蓄電池工場は実際には蓄電池を組み立てるだけで、電池の核にあたるセルは製造しないとのこと。セルは外部から供給を受けるといいますが、その技術進歩は目覚ましく、今後、性能もどんどんアップすると見込んでいるそうです。

 ちなみにパワーエックスの共同創業者には、バイオベンチャーである株式会社ヘリオスCEOの鍵本忠尚さん、北欧の電池スタートアップ、ノースボルト創業者のパオロ・セルッティさん、元グーグル幹部のシーザー・セングプタさん、元ゴールドマン・サックスで世界最大規模の環境系NGO「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー」を率いるマーク・ターセクさんが名を連ねます。

【了】

【どうやって?】電気運ぶ船&コンテナ型蓄電池のイメージ

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コメント

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3件のコメント

  1. その船で火災や衝突、沈没等事故が起きたら手を付けられなくなるのでは。
    都市一個分の電力を詰め込んであるものを管理制御できなくなったらどうするんだろう。
    その上リチウム電池だったりしたら一歩行けばふんだんな水があるわけで…

    • 危険性は石油タンカーも同じでは。

  2. 水洗トイレの排尿や排便から医薬品から肥料まで流れ作業で行うことが可能なプラントを考えてみたら面白いと思います。