東急「限界を知れる新技術」を実用化 これは「走る舞台照明装置」か?

東急電鉄が、「鉄道版インフラドクター」を大手民鉄で初めて実用化しました。建築限界の計測やトンネル特別全般検査に活躍し、コストの削減が可能なほか、保線技術の継承にも効果を発揮するといいます。

約12か月→約2か月

 東急電鉄が、「限界」を知れる新しい技術を実用化。2021年9月7日(火)から使用を開始しました。

 線路周辺の構造物が、列車の運行に支障を与えては大変です。そうならないよう、「構造物等がそこに入ってはいけない」という空間が線路上に設定されており、その空間を「建築限界」といいます。

 この建築限界の状況について、最初は問題なくても、何らかの理由でのちに変化している場合があるため、東急電鉄では定期的に、その建築限界を侵しているものがないか、全線を人力で計測。それを全線で終えるには、約12か月の期間が必要だそうです(世田谷線、こどもの国線を除く)。

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東急の「鉄道版インフラドクター」(2021年9月21日、恵 知仁撮影)。

 しかし、このたび実用化された新技術「鉄道版インフラドクター」を線路に走らせると、わずか約2か月で計測を終えられるといいます。

 この大手民鉄で初の実用化という「鉄道版インフラドクター」は、首都高技術(株)、朝日光洋(株)、(株)エリジオンが開発した道路の維持管理システムを元に、東急(株)と首都高速道路(株)、首都高技術(株)が鉄道向けに共同開発したものです。

 搭載するレーザースキャナなどによって、かんたんにいうと、線路とその周辺の構造物等を3Dデータ(3次元点群データ)にすることが可能。建築限界を侵しているものがあればすぐわかる、というわけです。樹木などが建築限界に近づいていれば、それも判定できます。

【画像】線路上にある「目に見えない建築限界」のイメージ

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