「コンパクトシティ」という名の経営戦略 カギは公共交通 奏功して地価上昇も【Merkmal】

富山市の地価が、住宅地は6年連続、商業地は8年連続で上昇している。背景にあるのは市による公共交通を軸としたコンパクトシティ政策だ。人口減と都市の拡散、住民サービスのコスト増に直面した富山市がとった手法とは。

地価の上昇が続く富山市

 国土交通省が2021年9月21日(火)、同年7月1日(木)時点の都道府県基準地価を発表した。東京や大阪の商業地が下落となった一方、札幌・仙台・広島・福岡の住宅地では伸び率が拡大するなど、新型コロナウイルス感染拡大前とは異なる動きになっている。

 その中からここでは富山県に注目したい。県全体では住宅地・商業地ともに下落となり、住宅地は29年連続で下がり続けているのに対し、富山市は市町村別では唯一、住宅地・商業地ともに上昇。前者は6年連続、後者は8年連続で上がり続けており、とりわけ富山駅周辺や路面電車沿線の動きが活発だからだ。

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富山市の中心部に整備された環状線(富山都心線)区間を進む富山地方鉄道の路面電車(森口将之撮影)。

 地価の上昇は、2021年春まで19年にわたり市長を務めた森雅志氏による「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」の成果だと筆者は考えている。

 富山県は持ち家率、1住宅あたりの延べ面積がいずれも全国一で、道路整備率も1位。1世帯あたりの自家用乗用車保有台数は福井県に次ぐ2位だ。郊外の家に家族が一緒に住み、複数の自動車を保有して、移動はもっぱらマイカーというライフスタイルが想像できる。

 しかしこのような発展が続くと居住地が拡散し、中心市街地が空洞化する、いわゆるドーナツ化現象が起こる。現実に富山市中心市街地の地価は、1996(平成8)年からの10年間で4分の1にまで下落していたという。

 富山市が危惧したのは、住民サービスのコスト増大だ。例えば除雪。富山市は降雪量が多い都市として知られているが、人口減少と都市の拡散が同時に進めば、税収は減るのに除雪の距離は増えることになる。これが財政に悪影響を与えることは容易に想像できるだろう。

 しかも2005(平成17)年、富山市は国の主導による「平成の大合併」の際に周辺の6町村と合併し、新・富山市として再出発している。この結果、面積は富山県の約3割、人口は約4割を占めるようになった。この状況で人口減少と市街地拡散が進行すれば、財政危機を招く危険性がある。そこでコンパクトシティを選択したのだ。

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コメント

1件のコメント

  1. 次は総曲輪の再開発なり再活性化が必要だろう。

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