「システム導入すれば課題解決」という勘違い【ざんねんな物流DX #1/Merkmal】

「システムを導入できれば、抱えている課題は解決できるはず」──そんな期待を持つ人も少なくない。だが、コトはそう簡単ではない。「物流業界のIT化とDX」連載1回目は、システム導入の課題を考える。

DXブームの今だからこそ見つめ直したい

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物流業界がIT化を目指す意義とは(画像:123RF)。

 DX──このキーワードは、もはや社会人の一般常識と化した。ウェブ、紙媒体を問わず、ビジネスメディアでは連日のようにDXをテーマとした記事が公開されている。

 だが本当にDXは世間に理解されているのだろうか? そもそも、DXとIT化(もしくはデジタル化)を混同している人も多い。もっと言えば、DXの定義をきちんと説明できる人は、どれほどいるのだろうか?

 これは、バズワードと化したDXを営業宣伝に利用しようとする一部の人、企業などのせいで、DXの本質が歪められていることも原因の一つである。

 物流業界に目を向けても、「今、物流DXに取り組まなければ、あなたの会社は取り残される」といった、煽り文句を載せた広告や営業があふれている。

 ちょっと待ってほしい。世にあるすべての運送会社や倉庫会社、もしくはメーカーや商社などの荷主企業は、本当に物流DXを目指さなければならないのか?

 本連載では、前半2回ではIT化を目指す意義を、後半2回では物流DXを目指す意義を考えていく。

 なお、本連載では、物流企業をターゲットに考えていくが、どの業界の方々にも、役に立つヒントがあるものと思う。

属人化に悩む、ある倉庫事業者のエピソード

「貨物がどこにあるのかは、社長しか把握していないんですよ」──これは、ある乙仲(海運貨物取扱事業者)に在籍する社員のボヤキだ。問題の乙仲は、従業員30名ほどの中小企業である。だが、最近では通販ビジネスが活況を呈していることもあり、比較的少量の貨物でも輸出入の采配を行い、仕事を断らない同社は、その小回りの良さから、ビジネスは安定をしている。

 同社倉庫において、ロケーション管理を行っているのは社長である。どこに、どの貨物を収めているのか、全容を把握しているのは社長だけだ。

 同社の部長は、さすがにこのままではまずいと考えた。そこで、社長にWMS(Warehouse Management System、倉庫管理システム)の導入を提言したのだが、社長に一蹴されたという。

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