戦法ただ一つ「体当たりで沈めろ」ツノを持つ異形の「衝角艦」砲撃戦時代になぜ蘇った?

古代の軍船には、「衝角」という体当たり攻撃用の鋭い突起がついていました。これは大砲の発達とともに過去のものとなりましたが、19世紀に復活、各国の海軍は競って新たな「衝角艦」を建造します。その理由をひも解きます。

19世紀に復活した衝角

 装甲艦が登場すると、たちまち木製の軍艦は第一線を退き、鉄製の軍艦が主力になりました。そのようななか、ときには軍艦の艦首に爆薬をくくり付けた棒を装備して体当たりするといった荒業も行われましたが、ヨーロッパ各国の海軍が注目したのは、かつての軍船にあった「衝角」でした。

 19世紀後半は装甲艦の時代といわれます。装甲艦の写真を見ると、どの艦も艦首が海面に向けてゆるやかに突き出しており、衝角が当時の軍艦にとってトレンドだったことがわかります。“衝角艦”復活の時代が訪れたわけです。なお、明治20年代と30年代に相次いで起きた日清戦争や日露戦争における日本海軍の軍艦は、いずれもこの形をしていました。

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復元された古代ギリシャの軍船。舳先に青銅製の衝角がある(画像:Filos96[Public Domain〈https://bit.ly/3akJULS〉])。

 1881(明治14)年に就役したフランスの「ポリフェムス」は衝角戦に特化していました。しかも、登場してまもない当時の新兵器、魚雷の発射管を衝角の先端に装備した、いうなればハイブリッド艦です。敵艦の砲撃をかいくぐって体当たりするので、速力を重視する目的から船体を軽くするために大砲や機関銃などは一切搭載していませんでした。そんな装備で「敵に突っ込め!」とは、乗組員はたまったものではありません。

 しかし当時、すでに軍艦は大威力の主砲を搭載した大型砲塔を備えて、数km程度離れて砲撃戦をする時代になっており、「ポリフェムス」が体当たりできる余地はほとんどなくなっていました。結果、イギリス海軍はさすがに「ポリフェムス」のような軍艦は実戦で使いものにならないことに気づき、同種類の軍艦の建造を取りやめます。衝角艦が復活するかに思えたものの、大砲の急速な進歩とともに、あまり流行ることなく終わりました。

 ただし、大西洋を挟んだ反対側、アメリカだけは違いました。

【写真】アメリカが造った最後の衝角艦「カターディン」

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コメント

2件のコメント

  1. これ海上保安庁の巡視船に向いている装備ではないかと。

    体当たりで動けなくして乗り込んで拿捕。

    古代ギリシアの三段櫂船でも体当たりして乗り込んでたし。

  2. 蒸気軍艦での衝角復活の理由が書かれていないので補足。当時はまだマトモに作動する徹甲弾がありません。なので大口径主砲の着弾衝撃でリベット止めされた装甲の剥離を狙っていました。が、当時は揚弾機(艦底の弾薬庫から主砲直下の換装室まで弾を運ぶ、厚い装甲に守られている)や装填用のラマー(砲身に弾を装填する棒、のちには折り畳み式のチェーンラマーに進化)が未熟で一々砲塔と砲の角度を装填位置に戻す必要があった。これに5分近く掛かる。が、当時の船も12ノット前後は出しているので、1,2発の射撃に耐えれば衝角突撃が可能。有名なのがイタリア装甲艦とオーストリアハンガリー帝国の木造艦主体の艦隊が交戦し、予想に反して木造艦の衝角突撃によりオーストリアハンガリーが勝ちます。以降、装甲艦に最も有効な戦術となりました。日清戦争の清国の戦術は当時として最も当たり前の物です。が、自艦隊より速度で上回る相手に実施した事、日本海軍が新兵器、速射砲(薬莢式の今でいう普通の大砲、当時は砲弾と装薬を別々に装填。今でも大きな大砲はコレ)を大量装備して非装甲区画の破壊を狙って戦った為、日本が勝利した。

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